────深い眠りからゆっくりと意識が覚醒していく。
まだ起きたくない、目が開かない。
微睡の中で感じていたのは、顔に当たる温もりと手に伝わる柔らかな弾力だった。
あたたかくて、ふわふわして、むにゅっとして……なんだろう、すごく心地がいい。
ずっとこうしていられたら──。
幸せに包まれながら重い目蓋をうっすら開くと、視界に映ったのはパジャマの隙間からのぞく白いお腹だった。
平たくて、すべらかで、生毛ひとつ生えてない、綺麗なお腹に可愛いおへそ。
寝ぼけていた頭がはっきりしていくにつれ、自分が置かれた状況を思い出す。
そうだ、昨夜は由奈と一緒にベッドに入ったのだ。どうやら、ずっと彼女に抱きついたまま眠っていたらしい。
手の中に感じる弾力の正体は、抱きついた拍子に触っていた由奈の柔らかな尻たぶだった。
「んっ……おにいちゃん……」
静かに寝息を立てる由奈が寝言を呟きなら俺の頭をぎゅっと抱きしめる。思わずウットリしてしまうスベスベしたお腹の感触と甘いミルクのような匂い。
うぅぅ……あったかい。由奈の温もりを感じていると、薄れていた昔の記憶が呼び起こされる。
まだ実の母親が側にいてくれたあの頃を。幼い俺はいつもお母さんに甘えてて……。
「んっ……ふぅ……っ」
温もりを確かめるように小さな体にしがみつきながらプニプニのお尻をまさぐっていると、さすがに由奈も気づいて目を覚ましてしまった。
「ふぁ……っ、おはようございます。お兄ちゃん」
「おっ、おはよう」
本当はもう少し抱きついていたかったのだが、由奈が起き上がってしまったので仕方なく俺も体を起こし、ベッドの上で二人向き合う。
由奈は乱れた髪を手で撫でつけながら、眠たげな瞳で俺の顔を見ている。
昨夜はあんなことをしたのに普段と変わらない感情の読めない瞳────いや、そうではない。今の由奈は少し嬉しそうに見える。
心の距離が近づいたせいか、俺は今までは気付けなかった由奈の微妙な感情の起伏を表情から読み取れるようになっていた。
そして、改めて俺の義妹がとても可愛いことも再認識した。
俺……こんな可愛い子とあんなことをしたんだ……。
昨夜の秘事を思い出しそうになったところで、こっちを見ている由奈の視線が、俺の顔ではなくもっと下を見つめていること気づいた。
一体何を見ているのだろうと視線を追って下を向くと、そこでは元気よく朝勃ちする息子によって股間が激しく自己主張していた。
「お兄ちゃんのおちんちん、おっきくなってますね?」
「なってますねぇ……」
「精子出したいですか?」
「ふぉっ!?」
相変わらずこの子のド直球な発言にはビックリさせられる。
「いっ、いや、そうじゃなくて、これは朝勃ちと言って……なんというか、男はエッチなことを考えてなくても、朝起きると勝手にこうなっちゃうんだ」
「そうなんですか? 男の子って不思議ですね」
興味津々といった様子で俺の股間を見つめる由奈。そんなに凝視されると恥ずかしいんだけど……。
昨夜の一件があっても、由奈のマイペースは相変わらずのようだった。
けれど、少なくとも俺の内面には大きな変化が起こっていた。
「ねえ由奈、ぎゅってしてくれる?」
「はい、いいですよ」
俺の言葉にあっさりと了承した由奈が両手を広げた瞬間、彼女の雰囲気が変わった。
「お兄ちゃん、おいで」
甘やかで、全てを包み込むような母性の発露。昨日もそうだったけど、俺のことを甘やかそうとするとき由奈の内面に潜んでいた母性が表に出てくるのだ。
俺はこの状態の彼女を”由奈ママ”と呼ぶことにした!
いや、だからなんだよって話だが……。
しかしその威力たるや、もはや由奈に甘えることに一切の抵抗がなくなった俺は甘い花蜜に誘われる蝶のごとく彼女の小さな胸に飛び込んだ。(客観的に見たらウツボカズラに落ちる蟻かもしれない)
「んふっ、甘えん坊のお兄ちゃん、由奈がたくさんギュッてしてあげますからね」
その言葉通り、由奈はちっちゃな体を使って俺のことを優しく抱きしめてくれる。
あぁぁ……あったかいよぉ、やわらかいよぉ、しあわせだよぉぉぉぉ。
もう遠慮なんてしない。由奈は俺を甘やかしたい。俺は由奈に甘えたい。
需要と供給が完全に一致し、俺と由奈の兄妹関係はここに成立したのだ。
そうして俺はセットしてあった目覚ましが鳴るまで由奈にいいコいいコしてもらったのだった。
*
本当はいつまでも抱っこしてもらいたかったのだが時間がそれを許してくれない。
「ほら、お兄ちゃん。お母さんが下で待ってますよ?」
名残惜しむ俺はまるで低学年の児童のように由奈に優しく手を引いてもらいながら部屋を出た。
そして手を繋いだまま向かったリビングでは綾乃さんが朝食の準備をしていて、テーブルの上には作り立てのふわりと膨らんだオムレツや表面をこんがりと焼かれて香ばしい匂いを漂わせるトーストが並んでいた。
俺たちに気づいた綾乃さんはこちらを見てからくすりと笑う。
「おはよう二人とも。ずいぶんと仲良しなのね?」
しまった。由奈と手を繋いだままだった。
怪しまれたかと焦ったが、おっとりしている綾乃さんは仲良し兄妹ぐらいにしか思っていないようだ。
ふぅ、危ない危ない。ボロを出す前に手を離そうとしたところで由奈が一言。
「うん、昨日はお兄ちゃんと一緒に寝たから」
由奈さん!?
いきなりのカミングアウトに思わず吹き出しそうになる。
「あらあら、よかったわね由奈。お兄ちゃんともすっかり仲良しね」
さすがにマズいと思ったが、それでも綾乃さんは大して気にしてない様子。
母娘揃ってマイペース過ぎるだろ……。
*
さて、何事もなく三人で朝食をとった後、服を着替えて学校に向かう準備をした俺と由奈。
しかし家を出るにはまだ早く、余った時間はリビングのソファに座って朝のニュース番組を眺めていたのだが──俺はテレビよりも由奈のことが気になって仕方がなかった。
星座占いを黙って見つめる由奈。その横顔を眺めていると触れたいという欲求が込み上げてくる。
近くに綾乃さんもいるからおかしなことは出来ないが、隣に座る由奈の手にこっそりと自分手を重ねてみる。すると由奈はテレビを見つめたまま俺の手をやんわりと握り返してくれた。
それが無性に嬉しくて、由奈の小さくてスベスベした手の感触を堪能していたが、こんどは手を握るだけでは満足できなくなって彼女の太ももに手を伸ばしてしまう。
「ん……っ」
ちょっとくすぐったかったのか、指先で膝頭を撫でると由奈がぴくっとみじろぎした。けれど、やはりそれ以上は反応せずテレビを見続ける。
YESともNOとも言わないが、彼女なら受け入れてくれるという確信が俺を大胆にさせた。
膝に乗せた指を太ももの奥に向かって滑らせると、ほっそりしたももを隠すスカートを指でゆっくりと捲り上げてゆく。
膝上まで覆っていた布地は今や股間がギリギリ隠れる程度の際どいところまで捲られたが、それでも由奈は無反応である。
欲求に従って由奈のスカートをさらに捲ると、閉じられた太ももの付け根に白い三角ゾーンが垣間見えた。
ゴクリ、と息を呑みながら、太ももの隙間に手を潜り込ませて閉じた脚を開かせると、股間を隠すシンプルな白い綿のパンツがご開帳。
ワンポイントのリボンが可愛い実に小学生らしい清純なパンツ。けれど俺には下手なセクシーランジェリーよりもよっぽど卑猥に見えた。
由奈のパンツを食い入るように見つめていると、今まで無反応だった由奈の手がおもむろに俺の股間を撫でる。
「うッ!」
「お兄ちゃん、これも朝勃ちですか?」
さわさわと撫で付けられる股間は勃起したペニスによって大きく膨らんでいた。
「いや、これは、違うね……」
「困ったお兄ちゃんですね。もう学校に行かないといけないのに」
そう言いながらも、どこか嬉しそうな顔をする由奈に手を引かれ、俺はトイレの中に連れ込まれるのだった。