さて、いともたやすく由奈のぶらさげた餌に食いついてしまった俺。
すべては義妹の小学生おマンコと先っぽチュッチュするため、いっちょ本気でテスト勉強してやろうじゃないか!────と、意気込んではみたものの。
「だぁぁめぇぇぇだぁぁぁ……」
勉強机の前に座って1時間も経たないうちに俺の軟弱な脳ミソは悲鳴を上げ、手に持っていたシャーペンは無様にノートの上を転がっていた。
なんという体たらく。しかし言い訳させてもらうなら、これも仕方がないことなのだ。
だってさ? いつも平均点以下しか取れない俺のテスト勉強なんて適当に教科書をパラパラめくってハイお終い。「まあ、赤点さえ取らなきゃいいよね?」という手抜きっぷりで今までやってきたのだ。
それだというのに、いきなり「うぉぉぉ! 勉強するぜぇぇ!!」なんて、エンジンを全開にしたところで急激な負荷に俺が耐えられないのは自明の理!
かくして、エンストを起こした俺のポンコツな頭は動け動けと念じたところで再始動する気配もない。
「む〜りぃ〜、むりだよぉ〜」
「なにがムリなんですか?」
「うひっ!?」
完全にやる気が失せ、机に突っ伏しながらしょうもない歌を口ずさんでいる俺を由奈が横から覗き込んでいた。
驚いて体を起こした俺を由奈がじっと見つめてくる。
「どっ、どうしたの由奈?」
「お兄ちゃんがちゃんと勉強できてるか気になったので」
「でっ、できてますとも!? やだなぁ、当たり前じゃないですかぁ」
「………………」
「ハハッ……は……っ」
乾いた笑みを顔に張り付かせながら落書きしかない真っ白なノートを慌てて腕で隠していると、由奈は「ちょっと見せてください」と、俺が眺めていた教科書を奪い取りパラパラとめくって中に目を通す。
「えっ、もしかして高校生の勉強が理解できちゃうの?」
うちの義妹は実は天才小学生っていう設定だったんですかぁッ!?
「わかりませんよ。わたし小学生ですから」
そりゃそうだ。
由奈は一通りページをめくり終え、パタンと教科書を閉じて一言。
「すごくキレイな教科書ですね?」
「まあね、物は大切にしないとね」
「書き込みが一つもないです。マーカーも引いてない。勉強がキライなクラスの男子と同じ教科書です」
「なんですと!?」
俺がっ、小学生と同レベルだってことかっ!?
「それにノートも」
腕の下に隠していた授業用のノートも取り上げられ、由奈は目を通しながらヤレヤレとため息をつく。
「とりあえず黒板を写そうとしたけど途中でメンドくさくなってやめてますね」
「うッ!」
「しかも整理せずに写すから、後で見返そうとしてもどこに何を書いたのか自分でもわからない」
「うゥッ!!」
まるで俺の授業態度を見てきたかのような図星! これはぐうの音もでない!!
「お兄ちゃん、メッです」
「ぴぇんっ!?」
最近じゃ甘やかしママモードの由奈ばかりだったから忘れていたが……間違いない。今の由奈は塩対応な義妹モードだ!
「でっ、でもさ由奈、やっぱりいきなり頑張ろうとしても無理っていうか……」
ほら由奈、俺ってばこんなにダメダメな兄ちゃんなんだよ?
いつもみたいに甘々に甘やかしてなでなでチュッチュしてくれてもいいんだよ?
へいっ! かもぉん!! あいむ甘えんBOY!!!
「じゃあ、お兄ちゃんはいつになったらガンバるんですか?」
ぐぉぉぉッ!! そのセリフはダメ人間にいちばん効くヤツぅっ!!!
「由奈には見えます。このままだとお兄ちゃんはガンバらなくても入れる大学に進学して、ガンバらないまま卒業して、ガンバれなくて引きこもりになって……」
「ちょっ、由奈さんっ……!?」
「そのうちお父さんやお母さんからは見放され、由奈がお兄ちゃんのお世話をするんです。ガンバれないお兄ちゃんにご飯を食べさせてあげて、ガンバれないお兄ちゃんのおトイレをさせてあげて、ガンバれないお兄ちゃんのオチンチンをシコシコしてあげる。いつかお兄ちゃんがガンバれる日が来ると信じながら……」
「やめてぇっ! 俺の悲惨な未来を予言しないでぇぇっ!」
あまりにもエグい! 想像しただけで悲しくて吐きそうになっちゃう!!
「それがイヤならちゃんと勉強してください」
「あい……」
厳しすぎる……! 今日の由奈には甘えが一切ないというのか!
しかし、由奈は意気消沈する俺の耳元に唇を寄せ、「ちゃんとガンバれたら、ご褒美になでなでチュッチュしてあげますからね?」と、一転して甘やかな声音で耳奥をくすぐってきた。するとどうだ、途端にヤル気が漲ってきたではないか。(主に股間が)
由奈、なんて恐ろしい子! 彼女はJSにして人を動かすなんたるかを理解しているというのか!?
「ちっ、ちなみにレートはいかほど?」
「三時間勉強を続けたら十五分のひざ枕ナデナデ、六時間で三十分のなでなでチュッチュです」
「ぼったくりすぎじゃね!? そこにシコシコはありますかっ!?」
「十二時間で三十分にシコシコが追加されます。もちろんイスに座って勉強するフリをしてもダメです」
「スパルタすぎる……」
「ガンバるの、ヤメますか?」
なんだろう、その言葉からは「人生アキラメマスカ?」と言われているかのような脅迫めいたものを感じる……。
「いえ……ガンバらせていただきます……」
こうして、俺の過酷なテスト勉強が始まった────。
*
「神山さぁ、最近なんかヤツれてない? 目にクマできてるよ?」
数日が経過した頃、学校では佐伯さんに指摘されるほど俺は疲弊していた。つまり、どうにか勉強を続けることには成功していたのだ。
「あはは、テスト勉強で夜更かし気味だからかな……」
「そうなの? でも神山ってそういうのしない系じゃなかった?」
「ははっ……」
鋭いね佐伯さん! その通りです。本来の俺はそんなのしない系なキャラなのです!
でも────。
「ちょっとね、ガンバってみようと思ってさ」
悲しい未来を回避するために。そしてなにより、由奈のおマンコと先っぽでチュッチュッするために!(それが一番大事)
「ふぅん……?」
そんな最低な理由を言えるわけもなく、誤魔化し笑いをする俺の顔を佐伯さんがしげしげ見つめてくる。
えっ、もしかしてキモかったですかゴメンナサイ。
「なっ、なに?」
「ん〜ん、意外だなぁってね」
含みのある悪戯っぽい笑みを浮かべる佐伯さん。彼女が何を考えてるのかなんて俺にわかるはずもないが、その笑顔はやっぱり可愛いと思った。
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