「もういいの?」
「うん……もう、平気だから」
マンションの玄関では、いつものように、香苗おばさんが帰ろうとする僕を見送ってくれた。
「ごめんね、急に来て」
「いいのよ。来たいときは、いつでもいらっしゃい」
おそらく家で何かあったことには気づいているのだろうけど、僕を気遣ってか、おばさんは詳しく聞こうとはしなかった。そんな優しさがありがたくもあり、紗百合さんのことで後ろめたい気持ちになってしまう。
「……おばさんは、どうして僕にこんなによくしてくれるの? 僕が母さんの息子だから?」
そう尋ねると、おばさんは意外なことを聞かれたみたいにキョトンとしてから、小さく微笑んだ。
「ねえ、和也は覚えているかしら。私が離婚したときのこと」
「えっと……」
おぼろげな記憶だが、僕がまだ小学校低学年だったか、その頃のおばさんは、いつも悲しげにしていたのを覚えている。当時は僕も幼くてよく分かっていなかったが、原因は旦那さんの浮気だったらしい。
「あのときね、わたし、精神的にまいっちゃってて、和也の前でつい泣いてしまったの。そうしたらね? あなたは、私のことをぎゅって抱きしめてくれたわ。それで言うの、ボクがおばちゃんと結婚するから泣かないで……って」
「えっと……その、よく覚えてなくて……ごめん」
どうにか思い出そうとしたけれど、記憶は曖昧だった。申し訳ない気持ちで謝るが、おばさんはさして気にした様子もなく、穏やかに微笑んだ。
「ふふっ、しょうがないわ。あなたが、まだこんなに小さいときだったもの。でもね、あのときの和也が私を救ってくれたのよ。あなたがいなかったら、ずっと引きずってたと思うの」
「そうだったんだ……」
「だからね、慰めてほしいときは、いつでも私のところにいらっしゃい。あなたが悲しいときは、今度はわたしが抱きしめてあげるから」
「うん……」
そう言って、優しくキスをしてくれた香苗おばさんに見送られ、僕はマンションを後にしたのだった。
*
家に帰ると、玄関に置かれていた父さんの靴はもうなくなっていた。おそらく、気が向いて帰ってきただけで、紗百合さんを抱いて満足したら、またすぐに出て行ったのだろう。
父親のことを考えると、せっかく落ち着いた気持ちが、またザワついてしまう。
玄関を上がったところで、僕の帰りに気づいた紗百合さんが出迎えにやって来た。
「おかえりなさい。和也さん」
「ただいま……」
紗百合さんの態度はいつもと変わらない。きっと、あの現場を目撃していなければ、僕は何も気づかなかっただろう。もしかしたら、そのほうが幸せだったのかもれない。
もしかして、今までも自分が学校に行ってるときや、おばさんの家に行ってる間に父さんが帰ってきて、そのたびに紗百合さんは抱かれていたのだろうか?
そうとも知らず、僕は父親の精液が注がれた紗百合さんのオマンコにチンポを挿れて、自分が彼女を独占してる気になっていたのだろうか?
嫌な想像ばかりが浮かんくる。胸の奥がじくじくと痛み、不快な気分に押し黙ってしまう。
「和也さん、どうかなさいましたか?」
「あのさ、今日は何かあった?」
よせばいいのに、僕は尋ねずにはいられなかった。
「いえ、特に何も」
「そう……」
落ち着いて考えれば、その返答は父さんを嫌っている僕への気遣いであり、自分を欺くための言葉ではないことぐらい理解できただろう。
けれど、疑念に囚われてしまった僕は、紗百合さんに嘘をつかれたと思ってしまった。胸にザラついた感情が渦巻き、背を向けた紗百合さんを僕は後ろから抱きしめた。
「えっ、和也さん?」
つい腕に力が入ってしまい、いつもと違う僕の雰囲気を察した紗百合さんの体が緊張でこわばる。
「ヤらせてよ、紗百合さん」
「ぁうっ!」
命令口調で呟くと、僕は力まかせに紗百合さんを押し倒した。硬く冷たい廊下に体を押さえつけられ、紗百合さんが痛みに顔をしかめる。
「うっ、和也さん、どうなさったの……?」
そう呼びかける紗百合さんの声は微かに震えていた。
「何でもさせてくれるんでしょ? だったら、今ヤらせてよ」
「でも、こんなところで……」
「どこだっていいだろ! 大人しくヤらせろよ!」
「ひっ……!」
大声で怒鳴って手を伸ばすと、紗百合さんは怯えて体を縮こまらせた。
「お願いです、落ち着いてください……せめて寝室で……」
「うるさい! ほらっ、脱げよ!」
僕は癇癪を起こした子供みちあに喚きながら、紗百合さんの着ているブラウスの胸元を乱暴に引っ張った。
「あぁッ!」
ブチリと千切れたボタンが床に転がり、ブラジャーに包まれた乳房が露わになる。逃げようとする紗百合さんの体を押さえつけ、スカートを巻くると、股間を隠す邪魔な布切れを掴んでずり下ろす。
「あぁっ、和也さん、いけません……こんな、らんぼうに……あうぅっ!」
抵抗して恥部を隠そうとする紗百合さんの手を振り払って股を開かせると、僕は陰毛で隠された恥部に口をつけた。そして、舌を伸ばしてワレメをネロネロほじくると、紗百合さんの口から呻くような嬌声が漏れる。
「ひぅっ、ぁあぁっ、あぁぁぁ……ッ!」
小刻みに襲いかかる刺激に、紗百合さんの体はビクンッビクンッと敏感に反応する。ねちっこい舌愛撫から解放されたときには、彼女のヴァギナは愛液と唾液の混ざった汁でぐちょぐちょになっていた。
僕は紗百合さんを押さえつけながら下着ごとズボンを脱ぎ捨てると、勃起したペニスの先っぽをぬめった溝に押し当てた。
「ああっ、和也さん……やめてぇ……」
いつもは経験豊富な彼女の手管でいいようにされているけど、こうしてみれば、紗百合さんも男の力には屈服するしかできない、か弱い女だった。
「ほら、動くな!」
「あぅっ、ぁあ」
密着した亀頭が窪みにハマった感触を頼りに動かすと、先っぽがぬくく柔らかな粘膜に包まれる感触が伝わってくる。そのまま腰を押し進めると、肉棒がズブッと膣穴に埋没した。
「あぅぅうぅッ!」
息子のチンポで膣道を無理やりこじ開けられる感覚に、紗百合さんは顔を歪めて悲鳴をあげる。
「あぅっ、あぁッ、いやっ……和也さん……ぅうぅんっ!」
「何が嫌なんだよ! いつもヤラせてくれるじゃないか!」
彼女の苦しそうな声を無視して、僕は膣奥まで突き入れた肉棒をズルリと入り口まで引き抜くと、また奥へと突き立てる。
「んぅぅ! うぅぅっ、あァッ……」
最初は苦しげにうめく紗百合さんだったが、膣壁を擦られるうちに、女体は本能的にペニスを受け入れようと、膣は愛液を分泌させる。うねる肉ヒダがペニスに絡みつき、紗百合さんの悲鳴にも甘いものが混じりだす。
「あっぁぁっ……はぁっ……んんっ、ぅぅんっ」
「ぅくッ、なんだよ、もう感じてるじゃないか。澄ました顔して、本当はこうやって乱暴に犯されるのが好きなんだろ?」
「そっ、そんな、こと……」
「嘘つくなよ! さっきまで父さんにハメられていやらしく喘いでたくせに!」
「どっ、どうしてそれを……あぁっ、あァッ!」
言葉を遮るように亀頭が膣の天井をえぐると、紗百合さんのオマンコは悦んで肉棒にヒダを絡みつかせる。
本人の意思とは無関係に男の精を搾り取る極上の肉壺。この名器で、いったいどれだけの男を虜にしてきたのだろうか。紗百合さんが他の男と交わってる姿を想像するだけで神経が苛立った。
──紗百合さんは僕のものなんだ! 他の男にも、父さんにも渡すもんか!
抽送は激しさを増し、竿の表面をヌメヌメと蠢く媚肉の快感は凄まじく、気を抜けば、こっちがすぐに射精させられてしまいそうだった。
僕が一方的に犯しているはずなのに、セックスを愉しむ余裕は無かった。それどころか、自分の方が快楽に呑まれ、腰を振らされているような感覚に陥ってしまう。
「うぅぅっ!」
負けじと力強く腰を突き動かし、膣奥目がけて肉棒をねじ込む。
「あひぃいぃィッ!」
血流でパンパンに膨らんだ亀頭に子宮を押し上げられ、紗百合さんは抑えきれずに淫らな悲鳴をあげた。
「んひぅうっ! んあぁっ、子宮だめぇ、オチンポだめなのぉ……ぉおぉんっ!」
「ほらっ、正直に言いなよ! 息子のチンポをハメられて感じてますって!」
「ひぃぃッ、あっ、ぁあっ!」
「言うんだ! 父さんよりも、僕の方がいいって言えよ!」
「あぁあっ、和也さんのオチンポ……いいですっ、あのひとよりもっ……あぁっ、子宮が感じちゃうのぉっ、あっぁぁっ! あひぃぃっ!」
「ぐぅうゥゥッ!」
紗百合さんの言葉を聞いた瞬間、精液の奔流が精管からこみ上げ、それは抑えることのできない奔流となって一気に出口へと突き進んだ。
ビュルルッ! ビュルッ! ドクッ! ドプッ ドピュッ──!
ペニスから精液が吹き出し、粘ついたザーメンで紗百合さんの胎内を汚す。
「あひぃいっ! あっ、あぁっ! あっ、あぅぅんっ!」
射精の熱を子宮で感じた紗百合さんが、ガクガクと体を震わせて絶頂する。
とてつもない快楽だった。今までのセックスでは味わったことのない、異様な興奮に、僕は頭が真っ白になるのを感じながら、息をするのも忘れて最後の一滴まで膣内に注ぎ込んだ。
「あっ……ぁぁっ……!」
そうして全てを出し切った僕は、尻もちをつくように後ろに倒れ、その拍子にチンポが膣から抜ける。
「はあっ……ふぅぅ……はぁ……はぁ…………」
暗い廊下に、荒げた息遣いが響く。そんな僕の目に映ったのは、気を失ったように、ぐったりと床に倒れている紗百合さんの姿だった。
欲望のままに吐き出された精液がヴァギナから溢れ、太股をつたって床に垂れる。
まるでレイプをされたような義母の無残な姿。いや、レイプしたのだ。僕が、嫌がる紗百合さんを……父さんみたいに……無理やり犯してしまった……。
冷静になった途端、自分が嫌悪する父親と同じ行為をしたことに気づいて、僕は愕然とするのだった──。