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【最終話】ロリコン教師【小説】

【エロ小説】ロリコン教師と◯学生を箱庭の学園に閉じ込めて観察してみた ロリコン教師と○学生を箱庭の学園に閉じ込めて観察してみた

「あれ……」

目の前の光景に呆然とする。そこはいつもの見慣れた5年1組の教室で、しかし、並べられた机にはクラスの全員がきちんと着席していた。

慌てて黒板に書かれた日付を確認すれば、あの事件が起こる直前のままだった。

「先生、どうかされましたか?」

固まっている俺に生徒が声を掛けてくる。振り向くと一番前の席に座っている来栖麗香と目があった。

本当に生き返ってる──!

いや、生き返ったのではなく、死んだことが無かったことになったのか。

正直なところ半信半疑だった『全部なかったことになるスイッチ〜』は、どうやらその役目をしっかりと果たしてくれたらしい。

しかし、どういうことだろう。麗香の反応を見るかぎり、彼女はあのときのことを全く覚えていないようだった。もしも覚えていたら俺の顔を見ただけで悲鳴を上げて逃げ出してもおかしくない。

それじゃあ、他の3人は……。

さまよう視線はすぐに目当ての少女たちを見つけた。

日和は純朴な眼差しでこちらを見ていた。愛奈はぼんやりとした瞳で俺を眺めていた。花鈴はつまらなさそうに窓の外を眺めていた。

3人もちゃんといる……けど。

俺のように慌てた様子がない。やはり、彼女たちも全て忘れてしまったのだろうか?

今すぐ3人に駆け寄りたい衝動に駆られながらも、俺はどうにか平静を装って朝のホームルームを終えるのだった。

なかなか話しかける機会が見つからないままおとずれた昼休み。廊下で3人が仲良く集まっているのを見つけた俺は緊張しながら近づいて声をかける。

「日和……」

「えっ……あの、どうしたんですか先生?」

名前を呼ばれた日和が少し驚いた顔をする。近づくと、彼女は表情を固くして一歩後ろに下がる。それは俺たちが親しくなる前の、一般的な教師と生徒の距離感だった。それだけで、日和があの出来事を全部忘れてしまったことを悟った。

「愛奈……」

「なぁに? 先生ぇ」

愛奈のぽやっとした反応は何も変わっていないように見えたが、彼女の声音からは以前のような心からの親しみは感じられなかった。

「……花鈴」

「はぁ? 先生なにいきなり私達のこと名前で呼んでんの? マジきもいからヤメてほしいんですけどぉ〜」

大人をバカにしたような嘲笑。花鈴もすっかり以前のメスガキに戻っていた。

「わっ、ダメだよ花鈴ちゃん、先生にそんなこと言ったら……」

「いいじゃん別に、ほんとのことだしー」

当の俺は花鈴の生意気な態度に怒ることもなく、ただただ空虚な気持ちに支配されていた。

「いや……うん、いいんだ……すまん……なんでもない」

振り絞った声でそれだけ言うと、3人の視線を背中に受けながら俺はその場を去った。

あれから一ヶ月が経過した。元の隠れロリコン教師に戻った俺は、今日も遠巻きに少女たちを眺めるだけの生活を送っている。

「はぁ……教師辞めようかな」

最近、そんな呟きが口から漏れるようになってしまった。

仕方がないことだ。いちどJS少女の生の温もりを味わってしまえば、いまさら見ているだけで満足できるはずもない。かといって、この世界で生徒に手を出してしまえば確実に人生が終わってしまう。

それになにより、3人との関係が無かったことになったのが想像以上にキツかったのだ。

たとえエッチができなくなったとしても、せめて俺のことを覚えていてほしかった。

できることなら、もういちど親しみを込めて「先生」と呼んでほしいと願ってしまう。

いや、そもそもアレは本当にあった出来事なのだろうか?

もしかしたら、みんなが忘れてしまったわけではなく、最初から全て俺の妄想だったというオチでは?

現実だったという証拠はなにもない。スマホを調べてもL神から送られてきたメッセージはおろか、最後の思い出となった腹ボテ記念撮影の写真も綺麗サッパリ消えていた。俺の中で抑圧されていたロリコンの欲望が見せた白昼夢という方がまだ信憑性がある。

ああ……なんかもうダメだな。

心にぽっかり穴が空いてしまったような虚しさは耐え難いものがある。これならいっそ教師を辞めて学園を去ったほうがマシだ。

廊下を歩きながら何度目かもわからないため息をついていると、向かいからノートの山を抱えた麗香が歩いてくるのが見えた。

「大変そうだな、手伝うよ」

「あ、先生、ありがとうございます」

山になっているノートを半分受け取ろうとしたとき、意図せず彼女の手に触れてしまった、そのときだった。

「ンヒぃいいぃっ!?」

麗香は素っ頓狂な声を上げてノートを廊下にぶちまけてしまった。

「おっおい、大丈夫か!? なんて声を出してるんだ……」

あーびっくりした。周りに他の生徒がいなくてよかった。

「え、やだっ、わたしったら……なんだか急に体がゾワッとして……ごめんなさい先生」

麗香は自分でも訳が分からないと言った様子で、廊下にちらばったノートを集める。俺もそれを手伝いながら、もしかしたら、記憶はなくしても、クソガキ魂に刻まれた快感がフラッシュバックしたのだろうか……?

などと考えてみるけど、そうだとしても、だからなんだという話である。

今となっては、俺には何もできない……だって俺と彼女たちの関係は、ただの教師と生徒でしかないのだから──。

そこでふと、俺は当たり前のことを思い出した。あのとき少女とした約束を思い出した。

「そうか、教師と生徒か……」

「先生?」

そんな俺を、麗香は不思議そうに見るのだった。

翌日の放課後。俺は指導室に花鈴を呼び出した。

「呼び出しとか何ですかぁ? メンドくさいから早く終わらせてほしいんですけどぉー」

日頃の生活態度を説教されるとでも思っているのだろう、向かいに座らされた花鈴はふてくされた顔でこちらを見ようともしない。

窓から差し込む茜色の西日が俺たちを照らす。

「今日はな、神崎が今困っていることを先生に相談してほしくて呼んだんだ」

「なにそれウケんだけど、先生に相談したいことなんてありませーん、はいおわりー、もー帰ってもいいですかぁー?」

「家のこと──ご両親のことで困ってることがあるんじゃないか?」

最初はヘラヘラと笑っていた花梨だったが、その一言で警戒した表情に変わる。

「は? 別にないし、いきなり何言ってんの? 思い込みヤバ、キモすぎなんだけど」

「先生は教師として神崎の力になりたいんだ」

「だから無いって言ってんでしょ! 教師だとか口先だけでそういうのほんとウザいからやめて」

怒って立ち上がろうとする花鈴の手を掴んで引き止める。

「はなせよ!変態教師に暴行されたってPTAにチクんぞ!」

そう言えばビビッて引き下がると思ったのだろう。確かに以前の俺ならそうだったにちがいない。しかし──。

「それでもいい!俺はどうなってもいい!それでも俺はお前のことを助けたい!なぜなら、お前は生意気なメスガキだけど俺の大事な生徒だからだ!」

「はぁ!? 今メスガキって言った!?」

「言った! お前はクソ生意気なメスガキで俺の大切な生徒だ! だからどんなことを言われても、教師人生を賭けてでも、先生はお前の力になるぞ!」

「意味わかんない!あんた頭おかしいでしょ!」

「約束するから! 絶対に最後まで神崎のこと見放さないって!誓約書にサインしてもいいから!」

「ちょっ、ほんとなんなの……!? わかった、もうわかったから! 手はなしてよっ!」

教師人生を全ベットした俺の謎の気迫に圧された花鈴は先程までの威勢を失って着席した。

「ありがとう神崎、先生のこと信じてくれて」

「べつに信じてないし、先生が必死すぎてキモかったからしょうがなくだし」

それから、花鈴はポツリポツリと今の家庭状況を話してくれた。前に少し聞いてはいたが、思ったよりもヘビィで、むしろよく今までやってこれたものだと思ってしまう。日和と愛奈がいてくれたおかげだろうか。

この問題を解決するには長い時間が掛かるだろう、もしかしたら完全に解決などできず、花鈴には悲しい思いをさせてしまうかもしれない。

それでも……これが教師としての俺に残された最後の役目なのだと思う。

「花鈴、先生はお前のこと、ちゃんと見てるからな」

「…………きも」

夕日で顔を赤く染めた少女は、そっぽを向いてぽつりと呟くのだった。

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『ロリコン教師と○学生を箱庭の学園に閉じ込めて観察してみた』【完】

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