ミリアとした約束のこともあり、書斎に戻ったシーズは先ほどとはうって変わった様子で、残りの執務を早々に片付けると、マーサに断ってさっそく町に出掛けることにした。
その途中に、屋敷の家事をしていたアルテラと出会った。
「あら、旦那様。お出掛けでございますか?」
しっとりとした笑顔を彼女から向けられ、心がざわついたが、なんとか平常心を保ち、シーズは近くに誰もいないことを確認すると、アルテラに近づいてポケットに隠していたショーツを彼女にそっと手渡した。
アルテラは恥じらいながら、それをスカートの中にしまう。
「旦那様がお持ちになられていたなんて……私ったら、なんて恥ずかしい……」
「いや、俺があんなことをしたから……きみが悪いわけじゃないよ」
「うふっ、旦那様のお優しいところ、素敵だと思いますわ……」
アルテラがそっと身を寄せて、大きく柔らかな胸が腕にふにゃりと押し当てられる。
上目遣いに見つめるアルテラの瞳が妖しく光ると、シーズの心臓は鼓動を早める。
アルテラから漂う甘い香りに、さっきまで静まっていた色欲がまた騒ぎだす。
「アルテラ、そんなにくっついたら胸が当たって……」
「ふふっ、旦那様は私の胸をどうなされたいのですか?」
アルテラはまるでシーズの発情スイッチだ。また欲望に流されてしまいそうになり視線を泳がせるシーズの目には、まさにおあつらえむきな、使われていない客室のドアが映る。
(またムラムラしてきた……)
アルテラから香る甘い匂いを嗅いでいると、頭がぼうっとして下半身に熱いものがこみ上げてくる。
シーズは彼女の手を掴むと、引っ張るように暗い客室の中へと連れ込み、扉の鍵を閉め、アルテラを後ろから抱きすくめる。
「あんっ、旦那様ぁ……いったい何をなさるのですか……?」
「そんなこと、言わなくてもわかっているだろ」
シーズはメイド服のボタンを外すと、胸元から手を差し込んでアルテラの乳房を揉みしだく。
「ああ……柔らかいよ、アルテラ……」
彼女の首筋に鼻を当て、めいいぱっ息を吸い込むと、甘い女の匂いが鼻腔いっぱいに広がる。
「ああっ、いけませんわ……んっ、まだお仕事の途中ですのに……こんなこと」
腕の中でもぞもぞと動くアルテラを逃すまいと、シーズは強く抱きしめながら、股間を彼女のヒップにぐりぐりと押し付ける。
「あっ……んっ、旦那様の、硬いモノが……私のお尻に当たってますわ……」
「何が当たってるか、ちゃんと言ってごらん」
「そんなっ、恥ずかしいですわ……」
「ちゃんと言えないなら、お仕置きだ」
シーズはそう言って、彼女のおっぱいの真ん中にあるピンク色の乳首を、指先でキュッと摘み上げた。
「ひぁっ! んっ、んふぅっ……旦那様ぁ、やめてくださいませ……」
「だったら、ちゃんと言ってごらん」
「……ぉち○ぽ……です」
アルテラは恥ずかしそうにポツリと呟いた。
しかし、それではシーズを満足させることはできない。
「よく聞こえないな。はっきり言うんだアルテラ」
シーズは執拗に乳首をこねくり回しながら、彼女の耳元で囁く。
「んんっ……! おっ、おち○ぽです、あっぅっ……旦那様の、硬くなったオチ○ポが、私のお尻に擦りつけられていますっ……」
羞恥に頬を染めるアルテラを、ベッドにうつ伏せにして押し倒すと、シーズはスカートを捲り上げた。
スカートに隠れていた彼女の白く滑らかなヒップはなにも穿いておらず、隠すものがない秘部が、シーズの眼前に晒される。
「いやぁっ……見ないでください、旦那様……」
「あれからずっと、穿いてなかったのか?」
「それは、旦那様が……」
アルテラが言い訳をしようとすると、シーズはアルテラの秘部に指を這わせた。
「ひぁっ! んんっ……!」
指先にヌルリとした感触がする。彼女の秘裂はすでに愛液にまみれていた。
「もうこんなに濡れているじゃないかアルテラ。こんな破廉恥な格好をしながら、実は興奮していたのだろう?」
「そんなっ……あっ、ひぃっ……ぅんっ!」
ヌチャヌチャと音を立てながらシーズの指に膣口をいじられ、アルテラは切なげに喘ぐ。
「きみは、なんてイヤラシイ女なんだ。アルテラ」
「あぁっ……申し訳ありません、旦那様ぁ……」
「これが欲しくて、しょうがなかったんだろう?」
シーズはズボンの下から取り出した男根でアルテラの膣口をつつく。
くちゅっくちゅっと、亀頭と擦れた膣ヒダが音を立てる。
「あぁっ、んッ……後生ですから意地悪をしないでください、旦那様ぁ……」
「じゃあ、どうして欲しいのかちゃんと言ってごらん」
「わっ、わたしの中に……旦那様のモノを、ください……」
羞恥に震えるアルテラの大きなお尻を、シーズの手がペチンッと叩く。
「あぁっ!……だ、旦那様……なにをっ……」
「違うだろアルテラ。ちゃんと言うんだ」
アルテラは観念したように、自らの手で膣肉を開く。
「ど、どうか……アルテラのいやらしい、おっ、オマ○コに……旦那様の太くて硬いオチ○ポを挿れてくださいませ……」
それが合図となり、シーズはアルテラの膣口に、膨れた亀頭を合わせると、思い切り腰を突き出した。
肉棒がねっとりと熱く絡みつく膣ヒダをかき分けながら、一気に奥までズブリッと挿入される。
「アァぁっ!! 旦那様ぁっッ!!」
アルテラが快感に嬌声を上げるのを聞きながら、シーズはひたすらに腰を動かす。
初めて挿入したアルテラの膣内は、想像を絶するほどの快楽をシーズに与える。
──はずなのに。
なぜだろう、その気持ちよさがシーズにはわからない。
それはそうだ、なぜならシーズの男根は、まだアルテラの膣内の感触を知らないので想像しようがない。
所詮これは、彼の妄想でしかないのだから──。
「あの、旦那様?」
アルテラの呼び声に、シーズはハッとして周囲を見回した。
そこは暗い客室などではなく、屋敷の廊下だった。
アルテラはシーズにくっついたまま、彼の様子をうかがうように見つめていた。
「どうかなさいましたか? 旦那様」
「いっ、いや、なんでもない……ちょっと考え事をしていただけさ」
まるで白昼夢のように、あんないかがわしい妄想をするなんて、自分はいったいどうしてしまったのか。
危うく新たな性癖の扉を開けてしまいそうになって内心焦っていると、アルテラが艶っぽく微笑えんだ。
「ここを、こんなにされて……何を考えてらしたのですか旦那様?」
アルテラにズボンの膨れた部分を撫でられて、シーズは思わず腰が引けてしまう。
「いや、これは……」
「うふっ、素直におっしゃっていただければ……」
蛇のように腕を絡ませながら、彼女はシーズの耳に唇を押しあてながら囁く。
「アルテラは、旦那様のしたいことを、なんでもしてさしあげますわ……」
彼女の誘惑にシーズはたじろいで何も言えない。
先ほどの妄想とは立場がまるで逆だった。
女性経験の乏しいシーズがアルテラから主導を奪うなど無理な話なのだ。
しかし、今はこのまま流されるわけにはいかなかった。
「いっ、いや、今は他にやることがあるんだ。ミリアのためにも……」
シーズの口から娘の名前が出たとたん、絡み付いていたアルテラの腕が緩んだ。
「ミリア……ですか?」
アルテラは目をしばたたかせる。
「そっ、そう。だから……すまない!」
言うが早いか、シーズはアルテラを振りほどいて一目散に屋敷の外へと飛び出していった。
とても領主様とは思えない逃げっぷりである。
そんな彼を、アルテラは不思議そうな顔で見送るのだった。