「んむっ? んっ、ちゅ……」
唇を吸われるミリアは、いったい何をされているのか分からないといった様子で、目をパチクリと瞬かせる。
きっと、頰にキスをしてもらえると思っていたのだろう。
初めて触れる男の硬い唇が、ミリアのぷにっとした柔らかな唇をついばむように愛撫する。
「んっ、んむっ……ちゅぷっ……んぅっ……」
なすがままにされるミリアの口から漏れだす花の蜜のように甘い唾液を、シーズはちゅるりと吸い上げてから、ゆっくりと口を離した。
「ふぁ……だんな様ぁ、お口にしたのぉ……?」
まだ状況が飲み込めていないミリアは、膝の上に抱かれたまま、ぽんやりとした表情でシーズを見上げている。
「そうだよミリア、嫌だったかい?」
問われたミリアは、恥ずかしさに口元を押さえながらも、フルフルと首を横に振った。
「んっと……ビックリしたけど、いやじゃなかったです……」
「じゃあ、もう一回しようか」
そう言って、シーズはまたミリアを抱き寄せながら唇を重ねる。
「はぷっ……んっ、ちゅぷ……んっ……」
おっかなびっくり差し出された唇を優しく吸いながら、シーズは少女をだんだんと行為に慣れさせてゆく。
そして、ミリアから唇を吸うようになったのを見て、今度は口の隙間から、ゆっくりと舌を滑り込ませる。
「んっ……んゅっ……ちゅっ……」
とつぜん潜り込んできた舌に驚き、口の中で縮こまってしまうミリアの小さな舌を、シーズの舌が突きながら、誘うように舌先を擦り合わせる。
「んぅっ……はぷっ……んっ、らんなひゃまぁ……ちゅぷっ……」
「ほら、ミリアも舌を出してごらん」
「んっ……ひゃぃ……れぇっ……レロッ……んちゅ……」
おずおずと伸ばされたミリアの小さな舌を巻き取るように、自らの舌を絡みつかせながら、口内でヌロヌロと蠢かせ粘膜を接触させると、染み出してくる唾液が混ざり合い、くちゅくちゅと粘り気のある音を立てる。
胸に抱きつきながら、頑張って舌を絡ませようとするミリアは、まるで親に甘える子猫のように可愛いものだった。
けれど、口の隙間から漏れだす吐息は熱を帯び、頬を紅潮させながらトロンとした瞳でシーズを見つめる少女からは、幼いながらもメスの匂いを感じさせた。
シーズがミリアのふわりとした髪の毛を指で梳きつつ、獣耳を指でフニャフニャと弄り、付け根を揉んでやると、ミリアの体がピクリと反応する。
「ふにゅッ……んぅっ……」
「ミリアも耳が弱いのかい? じゃあこっちはどうかな……」
そしてスカートの中に手を忍び込ませ、小さなお尻の付け根にある尻尾を根元から先っぽまで撫でてやると、先ほどよりも刺激が強かったのか、プルプルと体を震わせる。
「ふにゃぁ……だんな様ぁ……」
性感帯が開発されてないミリアは、快感よりもくすぐったさが勝ってしまうようだが、それでも立派に感じているのだから、子供といえばやはり女であることには変わりはない。
アルテラの娘なら、さぞ美しい娘に成長するだろうし、早めに手をつけておけば、いっそう自分好みの女に育て上げることもできそうだ。
シーズがミリアの首筋に鼻を近づけて息を吸い込むと、果実のような瑞々しい香りが鼻腔に広がる。
この甘酸っぱく未成熟な体を堪能できるのは今だけなのだ。
穢れを知らない無垢な少女の中を己の欲望で満たすというのも、実にそそられるものがある。
そうだ、やってしまえ、お前は彼女たちのご主人様なんだ。
抵抗するなら無理やりにでも犯してしまえばいいさ。閉じ込めて調教してやるのもいいだろう。
お前には彼女たちを自由にする権利があるんだ。
さあ、犯ってしまえ。
心の内からわき起こる衝動に駆られ、シーズの手がミリアのスカートの中を弄ってゆく。
触り心地の良い細く滑らか太ももの感触を堪能しながら、その先にあるまだ誰も触れたことのない少女の秘部へと忍び寄る、股間の付け根に到達すした指先にショーツの感触。この薄布を剥ぎ取ってしまえば幼い割れ目はすぐそこだ。
「だんな様ぁ?」
スカートの中でもぞもぞと手を動かされているミリアは、今から自分が何をされてようとしているのか分かっていない様子だった。
しかし、その呼び声がシーズの正気を取り戻してくれた。
(俺は……なにをやってるんだ…………?)
我に返ったシーズは、慌ててスカートの中から手を引き抜き、自分が今なにをしようとしていたのか理解して呆然とする。
噴き出す冷や汗が頬を伝い首筋に垂れ落ちた。
もしもこの手を止めていなかったら、自分は今頃、ミリアに……そう考えただけで血の気が引いた。
「すっ、すまんミリア、今のはその……間違えてしまったんだ」
「だんな様、まちがえたですか?」
「そうなんだ、えっと……こういうのは、本当は子供がしちゃいけない事なんだ……けど……俺が間違えてしてしまったというか……」
苦しい言い訳に、しかしミリアは素直に頷いた。
「そっかぁ……だんな様ぁ、ほんとはミリア、ちょっとハズカシかったかも……えへっ」
(こんな無垢な子に……俺は……)
ミリアの照れたような微笑みに、罪悪感で胸が痛む。
「お母さんたちに、おこられちゃうかなぁ?」
「そっ、そうだな……皆には内緒にしといたほうがいいかな……」
これがバレたとしたら、非難されるのはシーズだけなのだが、ここでミリアを口止めしない訳にはいかなかった。
もしもシーズが娘に手を出したと知れば、アルテラとの信頼関係は崩れ去るだろう。彼女は娘を連れて屋敷を出て行ってしまうかもしれない。それだけは避けたかった。
「じゃぁ、だんな様とミリアのナイショですね」
ミリアは口の前で指を立てて、シーッとポーズをとる。
子供にとっては、ちょっとしたイタズラを秘密にするぐらいの認識なのだろう。
「ああ……そうだな……俺とミリアだけの秘密だな」
「えへへ」
子供を騙すことに負い目を感じるシーズとは対照的に、ミリアは二人だけの秘密というのが嬉しかったようで、ニコニコと微笑む。
「それじゃあミリア、俺はまだ仕事が残っているから、もうお戻り」
そう言って、シーズは膝に乗せていたミリアを下ろすと、最後に彼女の頭を撫でた。
「はぁい、だんな様」
ミリアは何も疑うことなく元気よく返事をすると、またトテトテと部屋から出て行った。
そして部屋に一人となったシーズは、今の状況に頭を抱える。
(俺はどうしてしまったんだ……)
正気に戻ったとはいえ、今も股間のイチモツはズボンの下で大きく膨らんだまま、激しい疼きが止まらない。
頭がぼんやりとして、気を抜けばまたよからぬことをしてしまいそうだ。
いよいよもって、自分の体がおかしくなっているのを自覚したシーズは、フラつく足取りで部屋を出ていった。
向かう先は、マリーレイアの居る書庫である。どうすればいいのか分からないシーズは、本能的に幼馴染に助けを求めていた。
書庫の扉を開けると、薄暗い部屋の中では、いつも通りマリーレイアが大量の本を読み耽っていた。
「マリー……」
「んー、シーズ? なんか用か?」
マリーレイアは書物から目を離さずに返事だけをする。
暗い部屋の中で煌々と光るランプの明かりに照らされた彼女の横顔はとても美しかった。
さらりと伸びる艶やかな髪の隙間からのぞく、ほっそりとした白い首筋はむしゃぶり付きたくなる色香を放っている。
彼女の姿を見ただけで、下半身の疼きは更に激しくなり、カラカラに乾いた喉に生唾がゴクリと飲み込まれる。
マリーレイアは本に夢中でまだ気づいていなかった。
性の飢えに喘ぎ、血走った目で近づいて来るシーズが、その手を自分に向かって伸ばしていることに。