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【6話】『運命のお乳』みたいな【ほのぼのおっぱい小説】

神乳搾ります神乳しぼります!

午前中の作業も片付いたところで、アドニスは牛乳を街のギルドに卸すための準備をしていた。

ミルクがたっぷり詰まった一抱えほどの缶を次々と荷車に積み込むと、最後にシロの体を抱き上げて荷台の前方に座らせる。

「さて、それじゃあ行こうか」

「わうん! よろしくお願いしますねロバさん」

シロが声をかけると、荷車に繋がれたロバは鼻を鳴らしてゆっくりと歩きだし、アドニスが手綱を握って前を行く。

街道に沿って行けば獣の類も滅多に出ないし、街までそう遠くもない。

のんびりとしたロバの歩みに合わせてゴトゴトと揺れる荷台の上では、うららかな陽気を浴びて欠伸をするシロの獣耳にどこからか飛んできた蝶々が止まって羽を休めている。

そうして、何事もないまま半刻ほど進んだところで、遠目に街を囲っている高い外壁が見えてきた。

顔見知りの守衛に挨拶をして門をくぐると、にわかに街の活気がふたりを包み込む。

石畳の大通りに並ぶ露店には多くの人が集まり、そこかしこで賑やかな声が飛び交っている。

村とはまるで違う街の空気に、シロは物珍しそうに荷台の上からキョロキョロと辺りを見回した。

「わうっ! アドニス様、人がいっぱいですね」

「ああ、この街にはいくつもギルドがあるし商売人も集まるからな」

すれ違うのも人族だけではない。犬人族や猫人族など、街では多様な人種が暮らしている。

その中には当然ながら女性も沢山いて、たっぷんと大きく揺れるお乳もあれば、ぷるんと程よく実ったお乳に、ぷにっとした慎ましいお乳、アドニスにとって街はお乳の宝箱といっても過言ではない。

みちゆく女性の胸についつい目を奪われていたとき、ふと、女神様の言葉が頭によぎった。

『アドニス、お乳を搾るのです』

アドニスはピンときた! 股間にピンときたッ!

(もっ、もしかして……ルナリス様がおっしゃっていたお乳とは、動物ではなく、女性のお乳なのではないだろうか!?)

圧倒的気づき! 確証はないが、男の直感がそうに違いないと言っている。

つまり神はこうおっしゃったのだ。世界のために女の乳を搾れ──と。

(おいおい、参ったなぁ。いやしかし、これは女神様をお救いする尊い使命だし? だとすれば娼館を利用するのもやぶさかではないっ!)

お金を払ってお乳を搾らせてもらうのだ。世界を救うついでに童貞も卒業できちゃうのだ。ひと乳で二度美味しい名案である。

アドニスは息巻いて新乳説をシロに話してみた。

「例えばほら、あそこにいるセクシーな山羊人族のお姉さんなんて、じつに搾りがいのありそうな乳をしてるじゃあないか」

いかがわしい雰囲気の店が並ぶ狭い通りの一角で、立ちんぼをしているセクシーな衣装の女性を見つけたアドニスだったが、シロは荷車の上から鼻をスンスンと鳴らすと、首を横に振った。

「あの人からは吉の匂いがしません。たぶん違うと思います」

「そっ、そうか……やっぱり、そんなに簡単な話ではないか……」

がっくりと肩を落としてため息をつくアドニスの様子にシロは小首を傾げる。

「アドニス様は女の人のお乳を触りたいのですか?」

「おおん!? いやっ、これはあくまでも使命のためであって、べべべべつに以前から娼館に行ってみたかったとか、童貞を卒業したいだとか、そんなわけないし? やだなぁシロさん」

「わう?」

「ほっ、ほら、それよりも早く仕事を片付けような」

図星を突かれて慌てたアドニスは誤魔化すように先へと進んだ。そして、いくつもの建物が並ぶ中で、ひときわ立派な門構えをした館の前に辿り着く。

「おっきいですねぇ、ここがギルドですか?」

「ああそうだよ。色んな品物がここから売られていくんだ」

ギルドを通せば仲介手数料は取られてしまうが、自ら行商で売り捌くより遥かに効率がいい。卸したミルクはすぐに契約している相手へと配達される仕組みとなっているので無駄になることもない。

裏手に荷車を留めたアドニスが声をかけると、すぐに中から狐人族の女性職員が出てきた。

フサフサしたキツネ耳と尻尾は毛並みも美しく、手入れの行き届いた小麦色の髪は肩で毛先をふわりとカールさせている。

ぴしっとしたブラウスとスカートの職員制服に身を包み、長い睫毛と涼しげな瞳もあいまって聡明さを漂わせる美女だ。

そしてなにより、ブラウスの胸元を押し上げる、たっぷりとしたお乳が非常にセクシーである。

「お疲れさまですアドニスさん。納品ですね?」

「どうもフォーリさん、よろしくお願いします」

フォーリとはギルドに加入して以来の顔見知りで、ずっとアドニスのことを担当してくれている。

とても有能でおまけに美人。ギルドの花とも言っていい存在なのだが──。

「アドニスさんの仕事はいつも丁寧で助かります。先ほどは水で薄めたワインを納品しようとした不届き者がいたので二度とこの街で商売ができないように処したばかりなんですよ。ギルドの信用を損なってはいけませんからね。うふふっ」

「ひぇ……」

品物を確かめながら穏やかな口調で話すフォーリ。しかし、その目は笑っていなかった。

基本的に穏やかで優しい女性のだが、仕事に支障をきたすようなことをすると静かにマジギレするので恐ろしい。

それに、有能すぎるがゆえに仕事を一手に抱え込んでしまう体質なのだろう、忙しすぎてたまに目つきがヤバイときがあり、そういうときは下手に刺激すると絡まれることがあるので注意が必要である。

「はい、こちら問題ありません。それでは倉庫の方へ……あら?」

手早く検品を済ませたフォーリが、ロバの背中の上でじっと自分のことを見つめているシロの存在に気づいた。

「こちらは、アドニスさんのお連れの子でしょうか?」

「ああ、その子はシロっていって、えっと、訳あってうちで預かることになったんですよ」

「わうっ、シロですよー」

シロが元気よく手をあげて挨拶をすると、フォーリはショックを受けた顔でプルプルと震えだす。

「かっ、かわいい……っ、シロちゃん、頭を撫でてもいいですか?」

「はい、いいですよ」

フォーリはそっと手をシロの頭に伸ばすと、先ほどまでのデキる女から一変して、緩みきった顔で恍惚としながら幼女の頭を撫ではじめた。

「はぁぁ、いやされるぅぅぅ」

「わう♪」

仕事に疲れた女へ癒し成分を分け与えていたシロだったが、すぐに何かに気づいてハッとした顔をすると、ぴょんとロバから跳び降りてアドニスの元へ駆け寄った。

「あんっ、もっと撫でたかったのに……」

「どうしたシロ?」

もの足りなそうにしているフォーリのことは置いといて、アドニスがしゃがむと、シロは耳元でこそりと囁く。

「わうっ、アドニス様! フォーリさんから匂いがします!」

「ん? ああ、シロも気づいたか。彼女からはいつもいい匂いがするんだよな」

きっと香水をつけているのだろう、上品な香りが彼女の雰囲気にぴったりである。大人の女の色香にアドニスもドキドキだ!

「わうっ、ちがいます! 吉の匂いです! たぶんあの方がアドニス様の運命のお乳です」

「なん……だと……?」

いきなり、とんでもないパワーワードの登場である。

「運命のお乳?」

「わうっ、それこそがアドニス様のスキルを成長させてくれるお乳だと、シロの鼻が告げています!」

「えぇ……」

にわかには信じられないが、神獣シロの鼻が告げるというのなら疑うことはできない。

スキル成長に必要なのが女性のお乳だったらいいなと内心ラッキースケベを期待していたが、まさかその相手がフォーリだとは予想外である。

「ふたりとも、どうしました?」

こそこそ内緒話しをしているアドニスたちを怪訝に思ったフォーリが近づいてくる。

「わうっ、フォーリさん!」

「はい、なんですシロちゃん?」

「アドニス様にお乳を────」

「スタァァァップ!」

いきなり危険物をブッ込もうとするシロの口を慌てて後ろから塞ぐ。

「アドニスさん?」

「いっ、いやっ、うちの牧場のお乳は美味しいでしょって、なあシロ?」

「むぐむぐ」

「はあ、そうですね」

「ああっ、そうだった! ついでで申し訳ないんですが、この品も査定してもらえませんか?」

アドニスは話を逸らすために荷物の中から取り出した小袋をフォーリに手渡す。その中には森で見つけた古びた硬貨が入っていた。

それを見て、フォーリもすぐさまビジネスモードになる。

「これは、どうなさったのですか?」

「えっと、開墾をしてたら土の中に埋まっていたのを偶然」

「そうですか……少々お待ち頂くと思いますので、中へどうぞ」

フォーリに連れられて、建物の中にある受付カウンターの前で座って待つことになった二人は、周りに聞こえないようにコソコソと小声で話す。

「あのなシロ、普通はいきなりお乳を搾らせてほしいなんて言ったら、女の人は怒るんだぞ」

「わぅ……事情を話してお願いしてもダメですかね?」

「世界を救うために貴女のお乳を搾らせてくださいって? 頭おかしい人だと思われるだけだろうなぁ」

自分なら絶対に信じない。通報まったなしである。

「しかし参ったな……まさかフォーリさんのお乳だなんて、こちとら日がな牛の乳を搾ってる村人だぞ?」

ギルドの花とも言える才色兼備の受付嬢はあまりにもハードルが高く、相手にされないどころか下手をすれば今まで築いてきた信用を失い、最悪ギルド出禁になってしまいかねない。

「どうしましょうアドニスさまぁ」

「慌てるなシロ、乳搾りに焦りは禁物だ。心を落ちつけてお乳と心を通わせることが搾乳の極意なのだ」

「どうすればフォーリさんのお乳と心を通わせられるのですか?」

「それは……帰ってから考えよう」

「わぅ……」

宝箱を見つけたはいいが開けるための鍵がない。これは前途多難である。

「アドニスさん、シロちゃん、お待たせしました」

ふたりが意気消沈していると、戻ってきたフォーリがズッシリと重たそうな袋をカウンターの上に置いた。

「査定の結果は金貨三十枚となります。問題ないようでしたら、こちらにサインを」

「さんじゅっ!?」

運命のお乳問題が頭から吹っ飛んでしまうような高額査定にアドニス戦慄。

震える手でサインをすると、受け取った布袋の重みにゴクリと唾を呑む。シロに言われて、ちょっと地面を掘っただけなのに、牧場の売り上げを遥かに上回る大金が手に入ってしまった。

「わうっ、たくさんお金が貰えてよかったですねアドニス様」

「そっ、そうねぇ」

とりあえず、シロの鼻がすんごいことだけは理解したアドニスだった。

【7話】それはお乳な出会いなの?【けもみみファンタジー小説】
ギルドでの取引を済ませた帰り道、またもケモミミ少女に導かれ野盗に襲われている馬車を見つけたアドニスは、猫耳の冒険者の協力でからくも危機を脱するも、助けた馬車の主は奴隷商人で……
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