「わぅ、泣かないでくださいアドニス様」
「泣いてなんかないやい」
幼女に頭をヨシヨシされて慰められる主人の姿をミルフィーナはいたたまれない気持ちで見つめていた。
「あの、ご主人様……わたしの胸を触りたいのでしたら、そのような小芝居をなさらなくても命じていただければ……」
「小芝居じゃないから! おっぱいを触りたいがためにこんな壮大な作り話をするとか俺はどんだけ痛い奴だよ!?」
どうやらミルフィーナに「奴隷のおっぱいを触りたいけど恥ずかしくて素直に言えない、こじらせ童貞BOYなご主人様」だと思われてしまったらしい。
「いや、まあそうだよな、こんな話をいきなりされたって信じるほうが難しいよな。うん、今のは俺が悪かった。とりあえずさっき言ったことは忘れてくれ」
「はい、ご安心ください。ちゃんとわかっていますから」
生暖かい眼差しがアドニスに向けられる。罪を許す慈愛の心を感じるぞ!
「ぐっ! やめてくれ、その気遣いは俺の心に刺さる!」
女神様や天界の存在を証明しろと言われても、今のアドニスはその手立てがない。神獣のシロだってぱっと見たらただの幼い犬人族の女の子にしか見えない。
しかしあるじゃあないか、アドニスが証明できるものが。自慢の【搾乳】で彼女の大きなおっぱいに直接わからせてあげればいいのだ。
「ふっふっふっ、お乳が出なくなったって? いいだろう、だったら俺の【搾乳】でミルフィーナさんのお乳を見事復活させてみせようじゃないか」
「ごくり……ご主人様のスキル」
「ああそうだ。俺はこれまでの人生を【搾乳】と共に歩んできた。俺に搾れないお乳はない。これでミルフィーナさんも理解できるはずだ。俺の言葉が嘘ではなかったということがね」
アドニスの自信に満ちあふれた瞳にミルフィーナは戦慄した。さっきまでは、おっぱいが好きなだけのむっつりスケベな坊やに見えていたのに、今の彼からは「マジ」でヤると言ったらヤる「スゴ味」を感じるッ!!!
「わかりました。あくまでも、その路線でいかれるのですね……」
「だから設定じゃないんだわァッ!」
しかし通じない! この世界でスキルというのは「実用性の低い特技」というのが共通の認識であり、しかも【搾乳】ときたもんだ。そんなんネタだと思われても仕方がない。「こいつ、そこまでしておっぱいに触りたいんだなぁ」と可哀想な目でみられてしまうのは必然!
「ああもう、なんでもいいからお乳搾らせて! おちちぃっ! おちちぃぃッ!!!」
「あんっ、落ち着いてくださいご主人様。おっぱい触らせてあげますから」
哀れアドニスは完全に厄介さん扱いである。
しかしこれで、ミルフィーナのお乳に触れることができる。【搾乳】さえ使えば彼女もアドニスのスキルが尋常でないことを認めるしかないだろう。もはや勝利への道は見えたも同然だ。
「それでは、どっ、どうぞ……」
ミルフィーナは観念した様子で恥ずかしそうに胸をくいっと反らす。彼女の柔らかそうな巨乳がたゆんと悩ましく揺れた。
それは、「どうぞご主人様の好きに触ってください」という意思表示。服従のおっぱいがそこにある!
しかし、アドニスはまな板の上の乳を前にして、圧倒的な乳圧に先ほどまでの意気込みが乳すぼんでしまった。
(なんて乳圧だ……下手に動けばこっちがヤられる!)
迂闊だった。女神様のお乳を搾ったことで女の乳房にも多少は慣れたかと思ったが、あの状況はあまりにもファンタスティックすぎたゆえ一周回って女性経験としてはノーカン。むしろ、自分の家に女を連れ込んでおっぱいを触るという、日常を感じさせる生々しさの方が童貞には効く!
(落ち着け俺、大丈夫だ、焦らず冷静に手順を考えろ。まずは、そう、お乳を隠す邪魔な服を脱がすんだ。なに、こんなの牛の乳を搾るよりも簡単じゃあないか)
浅く短い呼吸を繰り返しながら、アドニスは深い胸の谷間が見える胸元に人差し指をクイッと引っ掛けて、布地をずり下ろしていく。
「んっ……」
指先が微かに乳房の表面に触れるとミルフィーナがピクンと体を震わせ、指が下へ動くたびに、上乳がどんどん露出していく。
「うぉっ、おぉぉ……ッ」
息を呑むアドニス。もうちょっとで神秘の果実(乳首)が剥き出しにされようとしたとき、横からケモミミ幼女の無邪気な視線が注がれていることに気づいた。
「わうぅぅ」
見られてる。幼女に奴隷のおっぱいめくりしてるところ、めっちゃ見られてる!
気まずさに耐えかねたアドニスは咳払いをしていったん手を離した。
「オホンッ、あ~、シロさんや」
「わう?」
「俺は今からはミルフィーナさんの【搾乳】を行うわけだが、女性のお乳を搾るというのは、なんというか、とても集中力を必要とするデリケートな行為なんだ。だから、しばらくふたりで隣の部屋に籠ろうと思う。シロはここで大人しく待っていてくれるか?」
「わうっ! わかりました!」
「くれぐれも、くれぐれも中を覗いたりしてはいけないぞ? いい子に待ってたら後でおやつをあげるからな」
「わうん!」
「よしっ」
そして、アドニスはミルフィーナの手を引いて寝室へと逃げ込んだ。
ドアを閉めると、そこはもう誰にも邪魔されないふたりだけの空間である。
「ふぅ、とりあえずそこに座って」
「はっ、はい」
ミルフィーナがぎこちなくベッドに腰掛けてから、寝室は不味かったかもと気づく。
これじゃあ「今からそのイヤラシイおっぱいでご主人様にご奉仕させてやるぜぇ!」という展開だと思われても仕方がない。
「あの、だいじょうぶですご主人様。男の人に買われたらには、こういうことも奴隷の務めだって、わかってましたから」
(ほらぁ、絶対勘違いされてる)
しかし、今更ここでやめることはできない。覚悟完了しているというのなら好都合である。
「それじゃあ、えっと、続き……脱がせるよ?」
「はっ、はい……」
アドニスの無骨な手が、女のなだらかな鎖骨に触れ、肩に掛かっている袖をずり下ろすと、大きく開いた胸元の布地も一緒に脱げ落ちる。
タプンッという音が聞こえてきそうな揺れと共に、ふくよかな白い乳房がアドニスの前に晒け出された。
(こっ、これがミルフィーナさんのお乳!)
いかがわしい事をするのが目的ではないのだが、じゅうぶんすぎる程に育った女の乳房を見せつけられてしまうと、アドニスはどうしようもなく興奮してしまう。
ふんわりと柔らかそうな乳丘の頂でうっすらと色付く大きめな乳輪、プックリ膨らんでいる乳首はあまりにもイヤラしく、ミルフィーナの清純な雰囲気とのギャップで余計卑猥に見えてしまう。
「あのっ、ご主人様……そんなに見つめられたら、恥ずかしいです……」
以前は女主人に買われたと言っていたし、ウブな反応から見るに彼女はまだ男性経験がないのだろう。
自分がこの巨乳に触れる初めての男になるのではと思うと、アドニスは否が応にも気持ちが昂り、当初の目的を忘れそうになってしまう。
(ダメだダメだ、そんなことをするために彼女を買ったわけじゃないだろ、ルナリス様から与えられた使命を忘れるな)
欲望のままミルフィーナの乳房にむしゃぶりついてしまいそうになる衝動を必死に抑えながら、アドニスが【搾乳】を発動させると、手の甲に紋様が浮かび上がる。
「それじゃあ、始めるよ」
「んっ……ひぅんッ!」
伸ばされた指先が乳房に触れた瞬間、じわりと疼く感覚にミルフィーナの口から小さな悲鳴が洩れる。
「えっ……あっ、ぁっ、なにっ……これ」
少し触れられただけなのに、はしたない声を出してしまったことに驚くミルフィーナ。しかし、それはまだ始まりに過ぎず、【搾乳】の本当の威力を味わうのはこれからだった。
「えっ、ご主人様、ちょっ、ちょっと待ってくださ……ンンッ! あっ、あぁッ!」
アドニスの両手が柔らかな乳肉を鷲掴んだ途端、乳房に流れ込んできた熱く痺れるような快感に、ミルフィーナが体をビクンと仰け反らせる。
「あっ! あぅっ、あっぁっ……ふぅん……ッ!」
指の動きに合わせてフニャフニャと形を変える乳肉。それは搾乳というよりもマッサージに近い動きだった。アドニスは酷使によって疲弊した乳房をいたわるように、優しい手つきでタプンタプンと掬い上げながら、ゆったりとほぐしていく。
「あぅっ、ぁっ、ふぅぅん……あぁっ、はぁァンッ♡」
あまりにも心地よい快感に、ミルフィーナの口から洩れる声は熱く湿り気を帯び、緊張していた体の力が抜けていく。しかし、嫌な感じはまったくしない。それどころか、以前の女主人に無理やり母乳を搾られたせいで、揉まれると痛みを感じるようになってしまった乳房が、アドニスの手によって癒されていくのがわかる。
頭の中がぼうっとなり、力が抜けて体がふわふわとした。それなのに、お腹の奥から熱いものが込み上げてくる。
ミルフィーナの体はみるみる火照り、すべらかな肌は滲んだ汗でじっとりと濡れていた。
「あひっ、あっ、あっ♡ ごしゅじんっ、さまっ、あっ、あぁ♡」
今まで味わったことのない快感の中で、ミルフィーナはアドニスの言葉が嘘でなかったことを知る。女神様がどうのというくだりは謎だが、少なくとも【搾乳】という冗談みたいなスキルに関して、この青年の言葉は全て本当だったのだと。
それを理解したときには、すでに彼女のお乳はアドニスの【搾乳】に逆らえなくなっていた。
乳丘の先端で恥ずかしい程にピンッと突き出している乳首からは、今にも母乳が吹き出してしまいそうだった。頃合いと見たアドニスが、そのいやらしい乳首をキュッと指先で摘んだ。
「んひぃいいぃイィッ♡」
優しく揉まれるのとは比べものにならない、乳首から流れ込む電流のような激しい快楽にミルフィーナの嬌声が寝室に響く。
「あっ、あぁあぁっ♡ ごしゅじんさまぁっ、だめぇ、それ、あっ、だめぇぇ♡ 」
「そうかい? でもミルフィーナさんの乳首、こんなに尖ってるじゃないか」
「んふぅぅぅッ♡♡」
きゅっきゅっと小気味よく乳首を摘んで引っ張られると、頭の中が蕩けてしまいそうな快感がミルフィーナを襲う。その顔からは清楚さが消え完全に蕩けており、だらしなく開かれた口から甘い喘ぎが垂れ流される。
「ひぅぅんっ♡ あぁああアァッ♡ でちゃう、ミルクでちゃうのぉぉ♡」
「我慢しなくていいんだ。今までお乳が出なくて苦しかっただろ? たっぷり出すんだ、ほらっ」
「んひいぃぃぃいイイイッ♡♡ ああぁああアァッ♡♡♡」
とどめとばかりに勃起した乳首を捻り上げられた瞬間、乳房の中に大量に溜まっていた母乳がびゅるっびゅるっ! と、勢いよく噴き出す。
アドニスがその手に母乳の温もりを感じていると、ひときわ輝きを増した刻印を伝って、体の中に何か熱いモノが流れ込んでくるのを感じた。
(すごい……シロの言ってたとおりだ。これが運命のお乳を搾るってことなのか……?)
果たして、これでスキルが成長したのかは、まだわからないが、とりあえずスキル成長に必要なミッションはクリアしたことになる。
ミルフィーナのお乳も出るようになったことだし、これで万事めでたく解決かとアドニスが安堵したときだった。
「ごしゅじんさまぁ♡」
甘い呼び声と共に、体にしなだれ掛かってきた柔らかな重み。
頰を紅潮させたミルフィーナが、潤んだ瞳でアドニスのことを見上げていた。
「えっ、あのっ……ミルフィーナさん?」
彼女の目は完全に正気を失っていた。というか発情していた。
(なんか目にハートマークが浮かんでるぅ!?)
女に【搾乳】を使うとどうなるのか、これからアドニスは身をもって体験することになるのだった。
