「今日はフォーリさんに見てもらいたい品があるんですよ」
その日、アドニスにはシロを連れていつものように商業ギルドへ納品にやって来ていたのだが、それとはべつに、ある品物を持ち込んでいた。
「これが新商品ですか? いつもと同じに見えますが……」
牛乳瓶を手渡されたフォーリは、中に入っている白い液体をしげしげと見つめて首をかしげる。むろん中身はただの牛乳ではない。
ミルフィーナのお乳から搾った母乳──ミル乳だ!
【搾乳】によって彼女のお乳はすこぶる健康になり、今では毎日たっぷりの母乳を出すようになった。それは良いことだ。
しかし、その量があまりにも多いうえに、【搾乳】によって搾られた母乳には尋常ではない精力増し増しの絶倫効能が付与されているので、へたに飲むと日がなムラムラして仕事にならない。けれど、せっかく搾ったお乳を捨てるなんて勿体ない。
というわけで、アドニスは試しに商業ギルドのフォーリ嬢にセールスをかけてみることにした。
「なんとですね、これを飲むと精力が漲り、ヨボヨボのおじいちゃんもムキムキになっちゃう特製のミルクなんですよ、どうです、凄くないですか?」
「そうですね、凄く怪しいです……ちなみにコレ、なんのお乳なんですか?」
「…………それは秘密です」
ミルフィーナのおっぱいから朝一番に絞った母乳だなんて言えるわけがない。
フォーリはため息をついてアドニスに瓶を突き返した。
「アドニスさん、商業ギルドは信用第一なんですから、そんな得体のしれない液体を取引できるわけないじゃないですか、まったくもう」
「わう! ミル乳はすごいんですよ、お爺ちゃんがボコボコッて変身するんです!」
「あん、かわいいっ! でも、ごめんねシロちゃん、ふつうはミルクを飲んでもお爺ちゃんは変身しないし、ボコボコと不気味な音を立てたりもしないのよ?」
「わぅ……」
「そうですねぇ、そういう怪しげな薬を取り扱っている魔道具店なら話を聞いてくれるかもしれませんよ?」
”魔道具店”それは文字通り魔法の施されたアイテムやポーションなどを取り扱う店なのだが、冒険者でもないアドニスには今まで縁がなかった場所だ。
フォーリに店の詳しい場所を教えてもらったアドニスたちが、ギルドを出て人目につかない通りに入って先へ進んでいくと、しばらくして、こじんまりとした佇まいの店を見つけた。一見すると雑貨屋のようにも見えるが、看板には『エスティア魔道具店』と書かれている。
「こんにちはー」
少し緊張しながらアドニスが店の扉を開けると、取り付けられていた鈴がリンと鳴り、すぐさま鼻に香草やら薬品やらの混じった独特な匂いが香ってくる。シロもスンスンと鼻を動かしながら店内をキョロキョロと見回している。
店の至る所に置かれた用途不明の道具に好奇心を刺激されたアドニスが物珍しそうに品々を眺めていたときだった。
「なんじゃ小僧、わしの店に何か用か?」
奥のカウンターから聞こえてきた、幼さを感じる高い声。見るとそこには、ひとりの少女がキセルから紫色の体に悪そうな煙をふかしながら気怠げな瞳をアドニスたちに向けていた。
サラリとした綺麗なブロンドの髪と可愛らしい目鼻立ち、背丈はシロよりも少し高いぐらいなのに、乳房はタプンと揺れるほどに発育している。
一見するとロリ巨乳の少女なのだが、それにしてはずいぶん横柄な喋り方だなと思ったアドニスは、すぐに少女の尖った耳の形から彼女がエルフであることに気づいた。であれば、外見と年齢は人族の基準で推測することはできないだろう。
街には多様な種族が暮らしているが、エルフは基本的に街の喧騒を好まないのであまり見かけることはない。
年齢不詳のエルフはアドニスのことを頭の上から足下までジロジロと遠慮ない視線で値踏みすると、格好や仕草から、彼のことをただの物知らずな村人だと判断したのだろう。フンッとつまらなそうに鼻を鳴らした。
「ここは小僧が来るような店ではないぞ、雑貨屋を探しているなら大通りにいけ」
「いや、ここが魔道具店だってことは知ってる、ギルドのフォーリさんに教えてもらったんだ。あんたがエスティア……さん?」
「なんじゃ、あの嬢ちゃんの知り合いか」
どうやらフォーリとは面識があるようだ。それなら話が早いと、さっそくミル乳の買取について話をした。しかし──。
「おい小僧、金欲しさに嘘をつくにしろ、もうちっとマシな話を考えておけ」
全然相手にしてもらえなかった。
「いや、嘘じゃないから」
「飲めば劇的に精力が増す乳なぞ聞いたことがないわ。だいたい、これがなんの乳かも言えん時点で話にもならん」
「そうだな、わかった、これは他言しないでほしいんだが……」
そして、アドニスは語った。
自分のスキルに秘められた力のことを、【搾乳】で搾った女のお乳には不思議な効果が付与されることを。
自分に搾れない乳はなく、女神様のお乳だって搾れるということを熱く語った。
そして────。
「ぷっ、ぶふっ、ぶひゃははははっ! なんじゃそりゃ、ホラ話でももう少しマシなのがあるじゃろうが!」
(まあ、こういう反応されるよな)
事実を言ったところで信じてもらえないのは分かり切っていたし、【搾乳】のことを話して笑われるのにも慣れていたので、いつものアドニスであれば、いちいち怒ったりはしなかっただろう。そう、相手がこの性根の曲がったロリババアエルフでなければ。
「言うにことかいて、さくっ、さくにゅぅぅぅ? ぶはっ、ひひひひっ、こりゃあ傑作じゃ、アホじゃ、稀に見るドアホがおるわっ、ブヒャヒャヒャヒャヒャッ!
「………………」
このロリババア、煽り性能が尋常ではなかった。
「ほぉれホレホレ、そんなにおっぱいを搾るのが得意なら、わしのお乳を搾らせてやろうかぁぁ? 坊やはママのおっぱいがほしいんでちゅかぁぁぁぁ? ぶへははヒャハはハハハッ!」
見た目は子供のくせして胸だけはしっかり発育しているロリ巨乳。それをこれ見よがしにタプタプと揺らされ、アドニスの頭の中でプツン──と何かが切れる音がした。
「オラァッ!」
「ぉっ……ひょッ!?」
一瞬だった。エスティアはアドニスの初動すら見えずに、気がつけば乳房を握られていた。
これにはロリババアも驚愕。近接戦は不得意な魔法使いとはいえ、こう見えても彼女はそこら辺にいる冒険者なら軽くあしらえる強さを持っている。それなのに反応すらできず、たやすく胸を掴まれてしまった。
(なっ、なんじゃこやつ、ただの村人ではないのか!?)
強さというのは所作に滲み出る。エスティアの観察眼はその正確さゆえにアドニスをズブの素人と判断した、間違ってはいない、アドニスは紛れもなく素人だ。もしも彼がエスティアに殴りかかっていたのなら、拳はあっさりと防がれ、簡単に捻られていただろう。
しかし、アドニスが狙ったのはエスティアのお乳だ。
乳を掴む、それすなわち【搾乳】の範疇である。こと【搾乳】という行為において、アドニスの手は音速を超える。知覚できない速度で拳が飛んでくるのも同然だった。
そして、乳房に触れられた時点で、既に勝敗は決していたのだ。
「【搾乳】」
「んほぉぉおオオオおぉッ♡♡♡♡♡」
スキルが発動すると同時に、稲妻のごとき快感がエスティアの身体に轟き、ここ百年はご無沙汰だったロリババアの子宮を激しく震わせる。
ブシャァァァッ! ジョボボボボボボッ! ビチャビチャビチャ!!!!
抵抗する間も無くエスティアの頭は強烈な快楽に耐えきれずショートし、股間の膣穴からバルトリン腺液だのスキーン腺液だの子宮頸管粘液だの、諸々の分泌液を混ぜ合わせた体液が洪水のごとく吹き出した。ついでにロリ巨乳から母乳も吹き出した。
薄い下着など意味をなさず、噴出する膣液が床にビチャビチャと飛び散って大きな水たまりを作り、乳首からぴゅっぴゅっと飛び出す母乳がドレスの胸元に染み込みじわりと広がっていく。
全てが一瞬の出来事だった。
「おぉッ♡♡♡ おほぉっ♡♡♡♡ あヒッ♡♡♡ ヒィィッ♡♡♡♡♡ ンほォおオォッ♡♡♡♡♡♡♡」
そこにあるのは、立ったまま絶頂し、白目を剥いたアヘ顔で口を開け涎を垂らし、お乳と下の穴から盛大にお漏らしをするロリ巨乳ババアエルフの姿だった。
魔法道具店の店主エスティア(313歳)は後にこう語る。
「雷が落ちるのを見てから避けられないのと同じじゃわい。あやつに乳を晒した時点で、すでにワシは絶頂れておったんじゃよ」──と。
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