「え、アスーリア様?」
「頭の中に声が聞こえて……こっ、これは本当に女神様のお声なのですか!?」
シロとの交信で慣れていたアドニスとは違い、突然の出来事にカプリアは激しく動揺しながら天を見上げた。
『そうだよー♪ わたしは女神アスーリア、アドニスくんの呪いを解くために力を貸してあげるねー』
「めっ、女神様が、わ、わたしごときに天啓を……はぅぅっ……」
「ですがアスーリア様、カプリアのスキルじゃあ呪いを解くことはできないみたいなんです。いったいどうすれば……」
卒倒しそうになるカプリアを支えながらアドニスも天を仰いで問いかける。
『それなら大丈夫だよ。わたしがこれから二人に試練を与えて、見事クリアすることができればカプリアちゃんの【解呪】がレベルアップさせることができるから』
「なるほど、つまり俺の【搾乳】みたいにレベルアップの条件を満たせばいいんですね。それで、その内容とは?」
『うん、それじゃあまず、カプリアちゃんの頭の上にゲージが表示されているのが見えるでしょ?』
アスーリアに言われてアドニスが視線を向けると、確かにカプリアの頭の上には宙に浮かぶ横長の四角いゲージが表示された。
『これはHARENCHIゲージっていう名前で、アドニスくんがカプリアちゃんにエッチなイタズラをするたびに増えていって、このゲージが限界突破したときカプリアちゃんのスキルがレベルアップする仕組みなんだよ♪』
「唐突に始まる謎のゲーム!? なんですかそれ!?」
『えー、男の子ってこういうの好きでしょー?』
「確かに好きかもしれないけれどもッ!」
「御使様が、わっ、わたしに、はっ、破廉恥なことを……」
見るとカプリアの顔は湯気が出そうなぐらい真っ赤になっていた。
「すでにダメそうなんだが!?」
「だっ、大丈夫ですアドニス様、これは女神様から与えられた試練なのですから」
「確かにその通りなのだけれどもッ!」
まさかカプリアも、その試練を課しているのが天界で大乱交をしちゃうビッチ女神だとは思うまい。
「本当にいいのか? カプリアは男慣れしてるようには見えないけど……」
「だっ、大丈夫ですアドニス様、確かにわたしは男子禁制の修道院で育ちましたが、それが試練とあらば耐えてみせますので、どっ、どうぞ、わたしに、えぇええええッチないたずらをしてください!」
カプリアのHARENCHIゲージが1%に上がった。
『ゴクリッ……やるねアドニスくん、触らずにエッチなことを言わせてHRENCHIゲージを溜めるなんて、これは上級者テクニックだよ……』
「不可抗力ですが!?」
こうして始まってしまった破廉恥ゲーム。しかしルナリスのためとあらばアドニスだってHARENCHIすることもやぶさかではない!そう、これはやぶさか案件だ!
「そっ、それじゃあ……いくよカプリア」
「はっ、はいっ!」
とはいえ、いきなりおっぱいを触ったりするのはどうかと思ったアドニスは、まず手始めに緊張をほぐす意味でもカプリアの手を握ってみた。
「あっ……ぁぅ」
しっとりとして柔らかな手の温もりが伝わってくる。カプリアは手を握っただけで頬を染めて恥じらうウブな反応を見せるので、釣られてアドニスもドキドキしてしまう。しかし残念ながらゲージは増加しなかった。
「やっぱり、これぐらいじゃダメか……」
「あの、アドニス様……わたしのことは気にせず、どうぞ思うままにしてください」
「じゃっ、じゃあ……」
アドニスは献身的なシスターの意を汲んで、その手を胸元を伸ばす。
「ぁッ……ぅぅっ……ッ」
フニョンとした慎しくも柔らかな乳房の感触。カプリアは悲鳴を上げそうになる口をぐっとつぐんで、小さく体を震わせて耐えている。
ミルフィーナのような巨乳ではないが、手の中に収まった乳房は確かな弾力で手の平を押し返してくる。【搾乳】が健在であれば確実にンホらせていたことだろう。
アドニスがそのまま胸に触れた手を動かすと、修道服の下に隠されたおっぱいがフニュン、フニュンと形を変える。これはHARENCHIだ!!
「んっ……ぁっ、ぁぅんっ……」
「どっ、どうだ? これならゲージはかなり増えたんじゃ……」
アドニスは期待してHARENCHIゲージに目を向けるが──。
「さっ、3%……だと!?」
お乳を触ったのだからてっきり30%ぐらい稼げているものかと思ったが、予想外に低い数値にアドニスは愕然とした。そして、ならばこれはどうだと、今度はスカートの上から丸いお尻をサワサワと撫でてみた。
「あぅぅっ……ッ」
ヒップをなぞるソワソワとした感覚にカプリアはギュッと目を閉じて耐える。
「これでどうだ!?」
しかしゲージは5%に増えただけだった。
「なん……だと……っ」
これは女の子の体をナデナデしたりツンツンしたりするだけでクリアできる簡単なゲームだと思っていたアドニスは、けれど想定していたよりもずっと難易度が高いことを悟り困惑した。
(こうなったら、服をひん剥いてもっと直接的な刺激を与えるしかないのか? けど、それで本当に上手くいくのだろうか……?)
【搾乳】をかましてどんな女もンホォッ♡させてきたアドニスだが、スキルを失った今、果たしてそれが自分に可能なのかと懐疑的になってしまう。
「わうっ! アドニス様!」
珍しく弱気になっていたとき、アドニスの背後から頼れる相棒の声が聞こえてきた。
「シロ?」
「わうわう! 押してダメなら引いてみろですよ!」
「え、それはどういう……」
『外部からの助言は禁止だよー、シロちゃんはお外で待ってよーね☆』
「わぅん!?」
言葉の意味を尋ねるより早く、アスーリアの声と共にシロの姿は忽然と消えてしまった。おそらく教会の外に転移させられてしまったのだろう。
ひとり残されてしまったアドニスは、シロが最後に伝えようとしたメッセージを頭の中で反芻する。
(どういうことだ、シロは何を言おうとしたんだ? 押してダメなら……引く……?)
アドニスはいまいちどカプリアをよく観察した。信仰心の厚い敬虔なシスター、男に対する免疫がなく、本当は恥ずかしくてたまらないはずなのに、女神の試練として気丈に耐えている──。
(女神様の試練だから恥ずかしくても……あっ! そうかっ、そういうことかシロ!)
アドニスは何かに気づいたようにカプリアから一歩後ろに離れると、試練に耐えようとするシスターに告げた。
「カプリア、スカートを捲るんだ」
「えっ、わたしが……ですか?」
「そうだ、きみが自分の手でスカートをめくって、俺にパンツを見せるんだ」
そう言い放ったアドニスの瞳には、さっきまでになかった揺るぎない強い意志が感じられた。
「はっ、はい……わかり……ました」
カプリアは躊躇しながらも、言われた通り両手でスカートの裾を持つと、ゆっくりとたくし上げる。すると、長いスカートの中に隠れていた白い太腿と、その付け根を隠す純白の下着がちらりと覗き見えた。
「こっ、これでよろしいでしょうか……アドニス様……」
「いやだめだ、もっとよく見えるよう捲り上げろ」
「ぁぅっ……こっ、こう……でしょうか……」
カプリアが羞恥に震えながら、パンティが丸見えになるまでスカートを捲り上げると、アドニスは生娘の恥部を隠す薄布を舐めるようにマジマジと覗き込んだ。
「へぇ、シスターにしては随分といやらしい下着をつけているじゃないか。もしかして、男に見られることを想像して選んだのか?」
「そっ、そんな! わたしはそんなふしだらなことは……!」
「御使である俺の言うことに口答えするんじゃない!ほら、足を広げて、その卑猥な布切れをもっとよく見せろ!」
「はぅぅっ……」
カプリアが耐えがたい辱めに全身が火照るような感覚に陥ったそのとき、アドニスは彼女の頭上に浮かぶ破廉恥ゲージが10%まで増加しているのを見て確信する。
(こういうことか!)
乳房やお尻を触ってもゲージが増えなかった理由、それはカプリアがエッチなイタズラを女神の試練として受け入れてしまうことにあった。
どんなエッチなことでも、崇高な「神の試練」というオブラートで包んでしまえば破廉恥ではなくなってしまう。
つまり、いかにして彼女の羞恥心を煽るか、それがこのHARENCHIゲームの肝なのである。
今のアドニスには、先ほどまであった「やぶさかで清楚な女の子にエッチなイタズラができちゃうぜヒャッホー!」という下心が完全に消えていた。
これは勝負に挑む者の顔つき、覚悟を決めた男の顔だ!
(どうやら俺は勘違いしていた──これは肉体ではなく、心を抓む闘い!!)
こうして戦いの幕は切って落とされた。
*次回予告*
やめて! それ以上慣れないSMプレイをしたらアドニスの精神まで燃え尽きちゃう!
お願い、死なないでアドニス!
あんたが今ここで倒れたら、ルナリス様やシロとの約束はどうなっちゃうの?
ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、カプリアに勝てるんだから!
次回、『激闘HARENCHIゲーム』デュエルスタンバイ!!!