「適当に座ってくれていいから」
俺がそう声を掛けるも、居間に上がった彼女は、なぜか石油ストーブの前に置かれた座布団をじっと見つめていた。
それは、きな子の特等席だった場所である。
「どうかした?」
「いえっ、なんでもありません」
「とりあえず自己紹介しようか、俺は片山雪彦、きみは?」
「申し遅れました、私は珠代といいます」
そうか、珠代さんというのか、清楚な彼女の雰囲気に似合った名前だ。
「よろしく珠代さん。まあ見ての通り住んでるのは俺だけだから、気を遣わなくてもいいよ」
「ありがとうございます。ですが泊めていただくだけでは申し訳ありませんので、私に家事をさせていただけませんか?」
お客さんにそんなことさせるの気が引けるけれど、せっかくの厚意だ、彼女が引け目を感じないためにも、ここはありがたく申し出を受けた方がいいだろう。
「それじゃあ、お願いしようかな」
「はいっ、お任せください」
俺の言葉に、珠代さんは両手をポンと合わせて嬉しそうに頷いた。
とてもかわいい。
「それでは早速ですが雪彦さん、晩御飯はもうお済みでしょうか?」
「いや、そういえばまだだったな」
言われてみると腹が空いていることに気づく。
「では、私が何かお作りしますね」
「うん、頼むよ」
「お任せください、ちゃんと練習しましたので」
はて、料理教室にでも通っていたのだろうか?
やる気満々といった様子の珠代さんを台所に案内した俺だが、そういえば冷蔵庫の中にはロクな食材が入っていなかったことを思い出す。
ここら辺は店が閉まるのも早く、この時間帯にやってるスーパーもなければコンビニもない。今から食材を買ってくるのは無理だった。
「すまん珠代さん、こんなものしかないんだが……」
俺が申し訳なさそうに冷蔵庫の中を見せると、しかし彼女はニコッと微笑んだ。
「いいえ、わたし大好きなんです」
そう言って、彼女が冷蔵庫から取り出したのは、スーパーで売られている3食入りで118円、しかも茹でれば簡単に食べられるので、俺が好んで食べるお手軽食材。
「おうどん」
だった。
まあ、彼女が好きだというなら問題ないだろう。
そして晩御飯は彼女が作ってくれた、鶏肉うどんを美味しく頂いた。
そういえば、家の食卓で誰かと向き合って食事をするのは、俺がこっちに引っ越してきてから初めてである。
食事を済ませた後は、珠代さんが料理をしている間に沸かしておいた風呂に入ることになった。
俺が入った後の風呂では申し訳ないので、珠代さんが先に入浴するよう勧めたのだが、謹んでお断りされてしまった。
そして俺は、風呂場の椅子に腰掛け、頭からシャワーの熱いお湯を浴びながら、珠代さんのことを思い浮かべている。
どうにも不審な点があるものの、すすんで家事を引き受けてくれたりと、気立ての良い娘さんだ。
ちょっと天然なのか、会話がズレてるところもあるけど、そこがまた可愛い。
なんなら「お背中お流しします〜」って入ってきてくれたら最高なんだけど、それは流石に夢を見すぎだろう。
俺がありえない妄想を膨らませていたとき、突然、後ろのドアがガラリと開く音がしたかと思えば、ヒンヤリとした外気と共に人の気配を背中越しに感じた。
「雪彦さん、お背中お流ししますね」
「え……?」
なにかの聞き間違いかと振り向いた俺は、目の前の光景に言葉を失った。
おっぱいを表現する言葉に、よく果物が使われるけれど、やっぱりさぁ、おっぱいと果物は別物だと思うんだよね?
スイカやメロンてさ、硬いじゃん? でも、おっぱいはさ、柔らかいじゃん?
だからやっぱり、俺はおっぱいを素直に表現するには「おっぱい」しかないと思うんだよね?
個人的には「乳房」もありだと思うよ?
けど不思議なのがさ、いま俺の目の前には、おっぱいどころか、ピンク色の大きめな丸い突起、いわゆるサクランボっていうの? いや、これもさ、やっぱサクランボじゃないわけよ、乳首なわけよ、どう見てもこれは乳首なんだから、乳首としか言いようがないわけでさ。
それが、どういうわけか丸見えなんですわ。
「珠代さん……なっ、なんで裸なんだ……?」
「えっ? お風呂は裸で入るものですよね?」
俺が脳内で哲学的思考をしている間も、風呂場に入ってきた珠代さんは、俺の前で一糸まとわぬ姿を惜しげもなく晒していた。
想像してた通り彼女のおっぱいは豊満であった。
とても「ぷるん」じゃ収まらないサイズと重量感、これは「たっぷんっ」である。たっぷんっ、たっぷんっ、である。
Oh! Big Tits!
そんなお乳様をお持ちの彼女は、手で前を隠す素振りもなく、まるで羞恥心がないかのような実に堂々とした立ち姿である。
視線を下に動かせば、彼女の秘密の花園が御開帳され、少し盛り上がっている恥丘の割れ目までハッキリくっきり見えている。
あまりの開放感に俺の方が思わず顔をそらしてしまったぐらいだ。
「珠代さん、これは……マズイのでは……?」
「お任せください、ちゃんと勉強しましたから」
なんの勉強をなさったんでしょうか珠代さぁん!?
これはつまりアレか?
「泊めてもらうお礼は私の体でお支払いしますね」ってことか!?
俺は親切心で泊めてあげようと思っただけで、そんな下心なんて微塵も……いや、あったわ。というか、一目惚れしたから家に泊めるとか、下心しかなかったわ。
じゃあいいんじゃね? ありがたくお礼を受け取ってもいいんじゃね?
「それじゃあ雪彦さん、お背中流させていただきますね」
「うっ、うん、せっかくだし? お願いしちゃおうかな」
珠代さんは石鹸を十分に泡立てたボディータオルを俺の背中に当てると、ゆっくりと動かし始める。
温かく滑らかな泡が背中に広がり、程よい力加減で擦れていく。
うん、普通に気持ちがイイ。
「いかがでしょうか雪彦さん?」
「けっこうなお手前で」
「ふふっ、よかった」
それから珠代さんは、とても丁寧に俺の背中をゴシゴシと洗ってくれた。
ああ、女の人に体を洗ってもらうのって、こんなに心地よいものだったのか。
「雪彦さん、痒いところはありませんか?」
「うん、大丈夫」
「腕も失礼しますね」
背中を洗い終わると、次に片腕ずつ持ち上げて、肩から二の腕、手の先まで、しっかりと洗ってくれた。
その熱心な手つきからは彼女の偽りなき真心が伝わってくる。
そこで俺は、自分がとんでもない勘違いをしていたことに気づいた。
珠代さんはただ、俺に喜んで欲しいという純粋な厚意で背中を洗ってくれていたのだ。
男の前で裸体を晒してしまうのも、きっと彼女が世間知らずの箱入り娘だからなのだろう。
ああ、それだというのに珠代さんに穢れた欲望を向けてしまうなんて……俺はとんだ恥知らず野郎だ!
体を洗ってもらいながら心の中で猛省していると、不意に珠代さんの手がお腹の前へと回された。
「こちらも洗いますね」
「おふぅっ!?」
珠代さんが後ろから腕を回して前面を洗おうとすると、自然と背中に抱きつく格好になってしまう。
するとどうだい? 華奢な体には見合わないサイズのおっぱいが、俺の背中にムニュッと押し当てられてるじゃあないか!!
「んしょっ、んっ、しょっ……」
体を上下に動かしながら、頑張って隅々まで洗おうとしてくれる珠代さん。
けどそのせいで、押し当てられた柔らかおっぱいが、泡まみれの背中の上を、にゅるり、にゅるりと滑ってしまう。
その感触に、俺は思わずゴクリと生唾を飲み込む。
しかも、胸の辺りを這い回る彼女のたおやかな指先が、俺の乳首を何度も掠めてきやがる。
なんというキワキワ施術!
あれあれ? これはやっぱり珠代さんも、そういうつもりなんでしょうか?
そんな風に、お胸をにゅぷにゅぷしながら、さりげなく乳首を擦られてしまうと、お恥ずかしながら、こちらも久しく女性を忘れていたマグナムの撃鉄を起こさざるを得ない!(オナニーはしょっちゅうしてたけど)
前後から襲い掛かる官能的な快感に、俺の息子はすでにガッチガチに勃起していた。
そして、胸、腹と、次第に下がってきた彼女の手が、ついに股間周りに伸ばされた。
今度はいったいどんなキワを責めてくるのか!
俺が期待に胸を膨らませていたところで、彼女の手が俺のチンコをむんずと握った。
「おぉぅっ!?」
まさかいきなり握ってくるとは思わなかった俺は、またもや変な声を上げてしまう。
「あらっ? なにかしら……なんだか硬い棒みたいなものが……」
珠代さんは不思議そうにつぶやきながら、遠慮ない手つきで俺の肉棒を両手でニギニギする。
そんなにされたら辛抱たまらんですわ。
「ちょっ、珠代さん……そんな強くされると……」
「えっ、えっ?」
何がなんだか分からない様子で、珠代さんは体をずらして俺の股間を確認する。
もちろんそこには俺の息子がコンニチワである。
「ぇっ……どうして……?」
意味が分からないといった様子で元気に反り返る俺のイチモツを見つめる珠代さん。
いやいや、どうしてもなにも、こんな事をされたら男なら誰だってこうなっちゃうだろ。
もしかして、マジで男について知らないのか? 嘘だろ? これぐらい小学生だって知ってるだろうに。
しかし珠代さんは真剣な顔でこうおっしゃる。
「雪彦さん、もしかして……発情されてるんですか?」
発情とな!?
まあ実際その通り、我発情中なり。
「えっと、まあ……はい」
こんなにチンコを勃起させてしまえば言い訳もできない。俺が素直に認めると、珠代さんは驚きながらも納得したように頷いた。
「すみません、”男の人”はいつでも発情できると知ってはいたのですが……体を洗うだけでも発情してしまうのですね……」
恥ずかしいから、あんまり発情発情と言わないで欲しい。
「面目ない……」
「いえ、私の配慮が足りませんでしたので……それで、あの、これはどうしたら良いのでしょうか?」
おずおずと尋ねる珠代さん。
どうしたら? それはつまり、どうしたら勃起が収まるかってことか?
そんなの、一発抜くしかないじゃないか。
もしかして、手コキで抜いて欲しいとお願いしたら、彼女はその通りにしてくれるのだろうか?
どうやら性知識にかなりの偏りがあるようだし、うまく言いくるめればしてくれそうな気がする。
けど、紳士な俺は彼女をそそのかすような真似はしたくない。
ベストな選択としては、とりあえず珠代さんには風呂場から出てもらい、こっそり自分で処理するのがいいだろう。
うん、そうしようそうしよう。
そうと決まれば珠代さんにはこう言おう。
「珠代さんの手でしごいてくれる?」
はい漏れた! 欲望がだだ漏れちゃった! これは言い訳不可避!!
「わかりました……私の手で、しごけばよろしいのですね……?」
予想通り、珠代さんは素直に俺の言う事に従い、息子を握った手をゆっくりと上下に動かし始めるのだった。