さて、ローリエお姉ちゃんとのパコパコクエストがあった翌朝のこと。
「はい、ショタンくん。あ〜んして♡」
「ショタンく〜ん、わたしのも食べてい〜よ♡」
宿屋の食堂では左右をユリナとローリエに挟まれたショタンがベタベタに甘やかされていた。
「ありがとう、ユリナお姉ちゃん、ローリエお姉ちゃん」
ショタンは交互に差し出されたスプーンを口に含み、すっかり「お姉ちゃん」にされてしまったふたりのご奉仕に幸せそうに頬を緩めている。
そんな様子を、エクスがなんとも言えない顔で見ていた。
「あ、あの……なんだか、ふたりとも、ずいぶんショタンくんにベッタリですね……」
「そうかしら? でも、ショタンくんはまだ小さいし、わたしたちがちゃんと面倒をみてあげないと」
「そうそう〜、わたしたちはお姉ちゃんなんだから。ね?ショタンく〜ん」
「えへへっ、本当のお姉ちゃんができたみたいで、ボクとっても嬉しいです!」
好感度の上がり方がエグいふたりを訝しみながらも、ショタンが無邪気に喜んでいる姿を見るとエクスもそれ以上の追求はできなかった。
「ところで、エクスは今日も神殿の手伝いがあるんだっけ?」
「ええ、そうなんです。治療のお手伝いをしているんですけど、思っていたよりも訪ねてくる人が多くて……」
「へぇ、なんか大変そうだね〜」
「ええ、でもこれも聖職者としての使命ですから」
ローリエの言葉にお手本のような回答をするエクスだが、その顔には若干の疲れが浮かんでいた。そんな彼女を見かねてショタンが手を挙げる。
「あのっ、ボクにもなにかお手伝いできることはないでしょうか?」
「え、ショタンくんがですか?」
「はい、みなさんがボクを助けてくれてるように、ボクも困ってる人の力になりたいんです!」
「まあ、なんて素晴らしい心がけでしょう、偉いわショタンくん」
「えへへ」
ショタの言葉に感銘を受けるエクスだが、ほんとうはエクスとふたりきりになるチャンスを狙っていただけなのは言うまでもないだろう──。
*
さて、そんなこんなで神殿へとやってきたエクスとショタン。
そこには貧しくて医者にかかれない人などが救いを求めて神殿を訪れているのだが……。
「うぅ……きのう畑ごとで腰を痛めてしまってのう……あいたたたっ!」
ヨロヨロとした足取りのじいさんが、大げさに痛がりながらエクスにしがみつく。
「きゃっ……だ、大丈夫ですか?」
「おほっ、おぉ……すまんすまん、つい足がもつれてしもうたわい……」
そう言いながら、よろけたのをいいことに、老人はエクスの胸に頬ずりをする。
「ンッ……あっ、あの……おじいさん、このままでは治療ができないので、一旦離れていただけると……」
「おぉ、すまんすまん。ついじゃつい」
老人はへらへらと笑いながらようやくエクスから離れた。それを見ていたショタンは──。
(ついって何じゃ!? ただエクスのおっぱい触りたかっただけじゃろうが! まったく、これだからスケベジジイはいかんのう! 老害じゃ老害!)
自分のことを棚に上げてブチギレていた。
どうやらこのじいさん、腰痛を口実にエクスのたわわボディにセクハラしたいだけらしい。
鼻の下を伸ばすじじいの視線は、たっぷんと揺れる豊満な乳房や、スカートのスリットからのぞくムチムチの太ももに注がれている。
エクスも相手に下心があることは薄々気づいているようだが、優しい性格ゆえ強くは言えないらしい。おそらく昨日もこんな手合に悩まされていたのだろう。
「あのっ……おじいさん、あまりその……体を触るのは……きゃぁっ!」
調子にのったじいさんに尻を撫でられ、エクスが小さくを悲鳴をあげる。これにはショタンも黙ってはいられない。
「エクスさん、ボクもお手伝いしますね! そいッ!」
ショタンはバックから取り出したお手製の薬草湿布を老人の腰にすぱぁんっ!と叩きつけた。
「ひぎぃぃっ!? なにすんじゃこのガキ!」
「どうですかおじいさん、腰の痛みはまだありますか?」
「そんなもん、むしろ余計に悪化して……おっ、おお? なんじゃ、腰の痛みが消えとるわい……」
「それはよかったです。それじゃあ寄付はこちらの箱に。次の方が待ってますので」
にっこりショタスマイルに見送られ、老人は不思議そうな顔をしながら帰っていった。
(ふぅ、やれやれじゃ……これでエクスも安心じゃろ……)
迷惑客をおっぱらうことに成功してホッとしたのも束の間、ショタンは気づいてしまった。他にも複数の神官が対応しているのに、エクスの前にだけやたらと長い行列ができていることを!
(ぬぬぅっ! もしや、こやつら全員エクス目当てか!?)
耳をすませば、よからぬヒソヒソ声が聞こえてくる。
「おい見ろよ、あの女神官すげえおっぱいだぜ、ブルンブルンじゃねえか」
「へへっ、でかケツもたまんねぇわ、なんだよあのスケベな体、本当に神官か?」
どう見ても元気そうな男どもが列に並んでエクスを見ていた。
(こやつら、ふざけおって! エクスお姉ちゃんの乳と尻と太ももはワシのじゃというのに!)
ショタンが勝手にお姉ちゃん所有権を主張している間にも、次々とスケベ共がエクスに群がってくる。ねっとりと視姦するような視線と、度重なるおさわりセクハラに晒されたエクスは顔を赤くしながらも決して邪険にせず慈愛をもって患者に接する。その姿はまさに聖女だった。
今のショタンにできることは、この厄介な連中をすみやかに処することである。
「昨日からなんだか腹の調子が悪くて……神官さんの手で優しくさすってもらえたら治るかもなんですけどぉ」
「そいっ!湿布です!」
すぱぁんっ──! 完治!
「あいててっ、偏頭痛が酷くて……神官さんの柔らかそうな胸に抱かれながらナデナデしてもらえたら治りそうな気が……」
「そいっ!湿布です!」
すぱぁんっ──! 完治!
「大変です!俺の大事な息子が腫れちゃって!ほら!こんなに大きくなっちゃった!」
「そぉいっ!湿布です!」
ばちこーんッ──!!!
「おほぉおおおお!!!?」
完治!!!
──と、ショタンは群がる男どもの患部にべらぼうに効く湿布ビンタを食らわせていった。
おかげで大量に並んでいた患者も昼前にはだいぶはけてきたのだが、ショタンは途中からエクスの様子がおかしいことに気づいた。
「エクスさん、大丈夫ですか? ちょっと顔が赤いみたいですけど……それになんだか息も乱れて、もしかして具合が悪いんじゃあ……」
「あっ……ショタンくん……いえ、わたしは大丈夫ですから……」
エクスは気丈に笑ってみせるが無理をしていることは明らかだった。ショタンは治療を途中で切り上げて、神殿内にある休憩室へとエクスを連れていくことに。
「エクスさんはしばらく横になっていてください。ボク、お水をもらってきますね」
「ごめんなさいね、ショタンくん……」
「いえ、いいんですよ。それじゃあ」
そう言ってショタンは部屋を出ると、パタンとドアを閉じる。
(ふむ、風邪の類ではなさそうじゃが、気疲れかのう……?)
コップに水を汲んできたショタンが戻ってきたとき、ドアを開けようとした彼の耳に、部屋の中からくぐもった声が聞こえてきた。
(なんじゃ、この声は……エクスか?)
ショタンがそっとドアを開けて、隙間から部屋をのぞくと、ちょうどエクスがベッドの端に座っているのが見えた。しかし、なにやらもぞもぞして様子がおかしい。
「んっ……ふっ、ぁっ……あぅ、ンッ……んふぅっ♡」
彼女の手はスカートをめくり、パンティの股間を指でまさぐっていた。それはどう見ても自慰の最中だった。
「はぁっ、んんっっ……♡ ショタンくんもいるのに……こんなこと……でも、体が熱くて……んぅっ♡」
うわ言のように呟きながら、しかし、彼女の指はやがてパンティの隙間から恥部を直接触り始めた。
「あっ、あっ、ぁっ……あぁっ……♡」
(まさか、あのエクスがこんな場所でオナニーとはのう……)
ショタンが見ていることにも気づかず、エクスは夢中でクリトリスを擦っている。そして次第に腰の動きが激しくなり──。
「あっ、だめっ……イッちゃ……ひぅゥッ♡」
エクスはビクンッと体を震わせて絶頂を迎えると、くったりとベッドによこたわる。
「はぁっ、はぁ……わたしったら、また……ああ、神よ……不埒なこの身をお許しください……」
エクスは恥ずかしそうに手で顔を覆う。どうやらスケベなのは体つきだけではなかったようだが、性欲の強さに反して真面目な性格があだとなり、発散することに罪悪感があるのだろう。
(なるほどのぉ、聖職者でありながら性根がスケベな清楚系エチエチお姉ちゃんか……うむ、実によい!)
がぜんエクスを自分の「お姉ちゃん」にしたくなったショタンは、そこで名案を思いつくのだった──。
*
エクスが絶頂の余韻に浸っていたところで、外からドアがコンコン──とノックされる。
ショタンが戻ってきたのだと思い、エクスは慌てて起き上がり服装の乱れを直していると、開いたドアからショタンが姿を見せた。
「エクスさん、お水を持ってきました。あれ……なんだかさっきより顔が赤くなってるみたいですけど、大丈夫ですか?」
「そ、そうかしら? でも少し休んだからもう平気よ。心配をかけてごめんなさい」
「いえ、いいんです。はい、これを飲んでください」
「ありがとう、ショタンくん」
エクスは手渡されたコップを受け取ると、口をつけ中の水をコクリと飲み込む。
「あ……冷たくて、おいしい……」
冷えた水が火照った体に染み渡るのを感じながら、エクスはそのままコクリコクリと水を飲み干した。
「ふぅ……もう大丈夫よ、そろそろ戻らないと」
そう言って、エクスが立ち上がろうとしたときだった。
「あっ……ひぅっ……!」
突然、体の奥底から収まっていたはずの疼きが急激に湧き上がるのを感じて、エクスは抑え込むように体をギュッと抱き締めて座り込んでしまう。
それもそのはず、ついさっきエクスが飲み干した水にはショタンの体液が混入されていたのである。わずか0.1㎎で成人女性を発情させることができる強力なショタ汁が──! いったいショタンのナニを混ぜたのかは各々のご想像にお任せしよう。
「大丈夫ですかエクスさん!? 大変だ、顔が真っ赤ですよ!」
「いっ、いえ……大丈夫ですから……ぁっ……少しこのままでいれば……」
「汗もすごい……早く体を拭かないと!」
「まっ、まってショタンくん! いま体に触れられたら……あひィィぃ♡」
心配そうに近づいてきたショタンの手が体に触れた瞬間、ぞくぞくとした快感が電流のように体の内側を駆け巡り、エクスの口からはしたない喘ぎ声が飛び出した。
「あっ……あひっ♡ あぁっ……♡」
「まずは服を脱がしますから、動かないでくださいねエクスさん」
「まっ、まっひぇ♡ 脱がしちゃらめぇ……♡」
ショタンの策略に見事ハマってしまったエスクは、もはやその魔手から逃れることはできないのであった。