性欲を滾らせる弟の姿を見た瞬間、麻奈美は弟が自分を犯そうとしているのだと感じ取った。
「だめっ、ダメよっ……! シュウくん」
危険を感じてソファの上を後ずさる麻奈美だったが、その距離は一足でたやすく詰められてしまう。
「大丈夫だよ姉さん、無理やり犯したりなんてしないから」
「えっ……」
穏やかな声で語りかける弟に、麻奈美は目を瞬かせる。
「でもさ、僕はまだ射精してないのに、姉さんだけ気持ちよくなってズルいじゃないか」
「わっ、わかったわ……また手でしてあげるから……」
「ううん、姉さんはじっとしてればいいよ」
健二はそう言ってしゃがみ込むと、麻奈美の脚を広げて股の間に腰をあてがう。
「やだっ! 挿れちゃだめだよっ!」
「落ち着いてよ姉さん、無理やりはしないって言っただろ? 入り口で擦るだけだからさ、それならいいだろ?」
「本当に、挿れない?」
「うん、約束するから、だからいいよね?」
返事を待たず、健二は陰茎を麻奈美の秘裂にあてがうと、腰を動かして陰茎で割れ目を擦るように前後させる。
「んっ……ぁっ……」
たしかに挿入はしていなかったが、秘裂の隙間を往復する肉棒にクリトリスが擦られてしまい、弟が動くたびにピリッとした刺激が走る。
「ふぅっ……うぅっ、姉さんのおま○こ、挿れなくても凄く気持ちいいよ……」
蜜液でヌメついた秘部を擦るたび、ヌルヌルとした快感が肉棒に伝わってくる。
腰の動きはどんどん激しくなっていき、大きくグラインドするせいで、一瞬、亀頭が膣口に入りかけてしまう。
「あっ! だめよっ、そんなに動いたらオチ○チンが挿いっちゃうわ」
「だったら、姉さんの手で挿いらないように押さえててよ」
健二は麻奈美の手を掴むと、自らのペニスに添えさせた。そしてまた腰を動かし始める。
「んっ、あぁっ、はぁ……っ、シュウくんは、これで……気持ちいいの?」
「うん、うんっ……いいよ、すごくいい」
肉棒に這わせられた指の感触が心地よく、押さえつけられたことで秘裂との密着感が増す。
初めて経験する素股だったが、まるで粘つく淫穴に挿れているような感覚に、健二は腰が浮きそうなほどの快感を覚えていた。
「姉さんっ、姉さんも、気持ちいいんでしょ?」
「んっ、ぅぅっ……そんなっ、ぁっ……わからないわ……」
口ではそう言いながらも、肉棒が割れ目を擦るたびに、麻奈美の体は反応している。
その証拠に膣口からは愛液がどんどん溢れて、二人の性器はまるでローションを垂らしたかのように、ぐちょぐちょに濡れそぼっていた。
「うぅっ、姉さん、これ……おま○こに挿れたら、もっと気持ちいいよ」
「だめぇ、だめっ、だからね……んっ、ぅんっ……お姉ちゃんと約束したでしょ……? 挿れるのだけは、だめ……だから、あぁっ……」
本当はいますぐ肉棒を挿入して、麻奈美の膣内に溜め込んだ精液を注ぎ込みたいところだが、すでに高まってきた射精感をこれ以上我慢するのも難しくなっていた。
「うんっ、わかってるよ……あぁっ、もうイキそうだよ、このまま、姉さんの上に射精するよ!」
健二はとにかく射精したい欲求を満たすため、額に汗を浮かべながら肉棒を抽送する。
「んっ、あぁっ、うんっ……いいよ、このまま、お姉ちゃんに射精していいから、ほらっ、イッて、シュウくんっ……」
麻奈美が手を動かして射精を促すように刺激あされ、尿道の奥から精液がこみ上げてくる。
「うぅっ! いくっ、いくよっ姉さん、あっぅっ、うぁっ!」
どくっ! びゅるっ! びゅっ! どっぷ!
呻き声を上げながら、健二は亀頭から大量の精液を迸らせる。
勢いよく噴き出した白濁液が麻奈美の股にかかり、薄い陰毛に白く粘ついた精液が絡みつき、秘裂に垂れ落ちそうになる。
「あぁっ、だめっ、おま○こに入ったら……妊娠しちゃう……」
麻奈美は慌てて溢れ落ちる精液を手で抑えながら、ティッシュで拭った。
「はぁっ、はぁっ……気持ちよかった……」
健二は射精した満足感に浸りながら立ち上がると、精液にまみれた肉棒を麻奈美の顔に近づける。
「姉さん、舐めて……」
近づけられた肉棒からは、ムッとするほど濃い雄の匂いが漂ってくる。
「そんな……んぅっ……んぶっ!」
顔を背けようとする麻奈美の口に、健二は無理やり亀頭を押し付ける。
プニッとした唇に亀頭がもぐりこみ、麻奈美は顔をしかめながらも、吐き出すことはしなかった。
拒否したところで、興奮した弟が大人しく言うことを聞かないのは想像がついていたからだ。
麻奈美は観念してしずしずと亀頭を咥えた。
「んっ、ちゅっ……れろっ……ちゅぷ……」
舌を動かして、肉棒にこびりついた精液を舐めとる。
口の中に広がる青臭い味。こんなことは嫌なはずなのに、二回目だからだろうか、麻奈美は前回のような嫌悪感はさほど感じることはなかった。
*
情事の後片付けも終わり身綺麗にした麻奈美は、また弟と性的な行為をしたことに後ろめたさを感じているようだったが、怯えているような様子もなく、落ち着きを見せていた。
そこで健二は、修一が良からぬことを企んでいる件について、うまく麻奈美に言い含めなくてはと考えた。
本当なら、健二と修一の体が入れ替わったことを説明できれば簡単なのだが、言ったところで信じてもらえるわけもないし、弟の立場を利用して麻奈美にエッチなことをしているのだから、いまさら正体を明かすことなんてできない。
ともかく、麻奈美とニセモノの距離がこれ以上近づくのはよろしくない。それは止めなくてはならない。
「そういえばさ、健二のことなんだけど」
「ケンくんが、どうかしたの?」
「最近あいつ、妙に姉さんに馴れなれしいだろ?」
「そうかしら?」
「そうだよ、毎朝うちに寄ってさ、あれって姉さん目当てだと思う。あいつ、姉さんに気があるんだよ」
「えっ……!? そっ、そうなの? ケンくんが、私に……」
麻奈美が驚くのも無理はないと健二は思った。体が入れ替わったからこそ山田健二と神崎麻奈美が不釣合いだというのが客観的に判断できる。
修一のようなイケメンならともかく、いかに幼馴染とはいえ、なんの取り柄もない凡庸な自分が麻奈美を狙うなんて、身の程知らずもいいところであった。
麻奈美がドン引きしているのが伝わってくるようだ。
「姉さんは優しいから、あいつを構ってあげてるんだろうけど、下手に気を持たせないほうがいいよ。勘違いされたら困るだろ?」
「でっ……でも……私は……」
(そうやって優しくするから、僕はずっと麻奈美ちゃんのことが好きなまま、辛い思いをしてきたんだ!)
煮えきれない麻奈美の返答に健二は苛立って、つい語気を荒げてしまう。
「いいから! 姉さんはあいつに近づいちゃ駄目だっ!!」
「ひッ……わかったわ……」
弟の剣幕に萎縮した麻奈美は、言わされたような返事をする。
(あんなイケメン面した変態弟なんかに、麻奈美ちゃんを渡してたまるか)
健二は心の中で決意を固めた。