ニセモノの邪な企てを看破してから数日が経過した。
あれ以降もニセモノは何かにつけて麻奈美と接触しようとするが、健二の厳しい監視の目によって防がれているので、二人の仲が進展する気配はない。
健二は自室で机に向かいながら、これからニセモノがどのような行動を取るか推測していた。
(まっ、ハナから山田健二に脈なんて、あるわけないんだよ)
それが分かっているからこそ悲しくもあるのだが、実の弟である修一の魔の手から麻奈美を”守ってあげている”ことに健二は満足していた。
気分はまるで、お姫様を守る騎士のようだ。
(それに……こんな良いモノも見つけたしね)
手の中にあるスマホを弄りながら、ホーム画面の片隅に表示されているカメラマークのアイコンを押す。
そのアプリは、盗撮映像を発見してから、他にも何か修一の秘密が隠されてないかと探していたときに見つけたものだ。
最初はただのカメラアプリかと思っていたが、なんとそれは麻奈美の部屋に設置されている盗撮カメラの映像をスマホから遠隔で見ることができる代物だった。
これによって、いつでも好きなときに麻奈美の部屋を覗き見できるのだ。こんなものを学生が普通に買えてしまうのだから驚きである。
健二は心を弾ませながら、日課となった”監視”のためにアプリを操作してカメラの映像を表示する。
(あーあ、麻奈美ちゃんてば、またこっそりオナニーしてる、ほんとにエッチだなぁ)
スマホの画面には、ベッドの上で股を開き、自らの指で秘裂を弄っている麻奈美の姿が映されていた。
何度も部屋を監視しているうちに、麻奈美の行動パターンも大まかに把握してきたので、この時間帯に麻奈美がよく部屋でオナニーしていることも分かった。
見られていることにも気づかず自慰に耽る麻奈美を見ているうちに、健二の股間が反応して膨らんでしまう。
(丁度いいや、麻奈美ちゃんに抜いてもらおうかな)
健二は自室を出ると、隣にある麻奈美の部屋のドアをノックした。
「姉さん、いる?」
「えっ、シュウくん……!? ちょっとまって! すぐ開けるから……」
オナニー中に部屋を尋ねられた麻奈美の声は、ドア越しでも分かる程に慌てている。
「もしかして、ナニか取り込み中だった?」
健二は笑いそうになるのを我慢しながら、白々しい言葉をかける。
「ううんっ、大丈夫だから……ちょっとまってね……」
ようやくドアを開けて出てきた麻奈美は、少し服が乱れていたが、なんとか平静を装っていた。
弟を見つめるその瞳は、どこか怯えるように揺らいでいた。
「シュウくん……どうしたの?」
「実はさ、コレなんだけど」
健二がズボンの膨らんだ股間部分を見せつけると、麻奈美は弟が何を要求しているのか察し、表情を曇らせる。
「また……なの?」
「うん、いいでしょ姉さん?」
「…………わかったわ、部屋に入って……」
最近の麻奈美は諦めに近い様子で弟の性的な欲求を受け止めている。
しかし健二は、それが麻奈美の優しさであり、愛情だと思い込んでいた。
(知らないだろ修一? 麻奈美ちゃんはもう、僕のものなんだぞ)
興奮した健二は麻奈美をベッドに押し倒すと、スカートを捲り上げて下着に指を掛ける。
「早くしてよ、もう我慢できないよ」
「あっ……まってシュウくん!」
麻奈美が止めようとするも、健二はそのままショーツをずり下ろした。
薄布が引き剥がされた秘部は、先ほどまでオナニーをしていたせいで、トロリと蜜液に濡れてメスの匂いを漂わせている。
「姉さんのおま○こ、すごく濡れてるよ? もしかして期待してた?」
「ちっ、ちがうの、そうじゃなくて……」
自慰をしていとは恥ずかしくて言えない麻奈美。性欲の強さに反して純情な性格が彼女を悩ませているようだ。
そんな恥じらう姿が健二をさらに欲情させた。
自分もすぐにズボンを脱いでパンツを放り出すと、麻奈美に覆いかぶさりながら、勃起した肉棒を麻奈美の秘裂に擦り付ける。
「姉さん……僕のチ○ポ、姉さんの中に入りたくて疼くんだ、ねえ、挿れていいでしょ?」
「だめっ! それはダメよ……他のことなら何でもしてあげるから、それだけは我慢して……お願いよ、シュウくん……」
弟の性的な要求を拒めない麻奈美だが、姉弟での性器挿入という、最後の境界線だけは越えさせてくれない。
「……わかったよ姉さん、安心して、無理やり挿入したりしないからさ」
にっこりと微笑みながら語りかける健二。
本当は強引に犯したいところだが、「麻奈美を愛しているからこそ、レイプはしない優しい僕」という自己中心的な思い込みがブレーキになっていた。
そんな約束、気が変わってしまえば、あっけなく破られるだろうが――
今日のところは大人しく、麻奈美の豊満のおっぱいの谷間に肉棒を埋め、柔らかな乳房に挟まれながら、たっぷりと射精するのであった。
(急がなくても、どうせニセモノには何もできないし、そのうち麻奈美ちゃんも僕を受け入れてくれるはずさ)
健二にとって、麻奈美は鳥籠に入っている小鳥も同然だった。
生かすも殺すも自分次第。麻奈美の身体は僕のモノ。
まるで支配者気取りの健二にとって、予期せぬ出来事が起こったのは、それから数日後のことであった――
*
ある日の放課後、健二は生徒会役員の仕事があるせいで、放課後も学校に残るハメになっていた。
既に夕暮れ時、空は不気味なほどに濃い茜色に染まっている。
(くそっ、なんで修一は生徒会なんて面倒な事してるんだよ……)
本当はすぐに家に帰って麻奈美にエッチなことをしたいのだが、円滑な学校生活のためにも、神崎修一としての役割も最低限は果たさなければならない。
けれど、麻奈美が今どうしているか気になった健二は、見つからないように、こっそりとスマホを操作して例のカメラアプリを起動した。
遠隔地からでもネット回線さえあればカメラの映像を見る事ができる。
(この時間帯なら、麻奈美ちゃんは部屋にいるはず……)
果たして健二の予想通り、部屋には麻奈美の姿も映っていた。
しかし、それだけではなかった。
(は――?)
“ソレ”を見た瞬間、健二の思考は停止した。
理解ができなかった。
映っているのは麻奈美の部屋。ベッドの上には裸の麻奈美。それはわかる。
けれど、もう一人。麻奈美と抱き合う裸の男が映っている。
それは――――山田健二だった。