気が狂ったかのように吠える弟の姿に、麻奈美は恐怖で身が竦む思いだった。
弟はまともじゃない。ここに居たら危ない。
とっさに逃げようとした麻奈美だったが、その前に手首を掴まれてしまう。
「いたっ……!」
男の握力で容赦なく握り締められ、苦痛に顔を歪ませる麻奈美。しかし、そんなことに構ってられる余裕は今の健二にはない。
怒りに満ちた瞳が麻奈美を捉える。
「僕は姉さんのことを信じていたのに……姉さんは僕を裏切った!」
「痛いわっ……放してっ……わたし……シュウくんを裏切ってなんて……」
「黙れ!!」
健二は引きずるように麻奈美をベッドに放り込むと、逃げられないように上から覆い被さった。
「ねえ、さっきまでこのベッドで、アイツとセックスしてたんだろ?」
「おっ、お願い……落ち着いてシュウくん……ちゃんと話しを……わたし……」
「うるさい! やったのかって聞いてるんだよ!? 答えろよ!!」
「ひぃっ……!?」
顔がぶつかる程の至近距離で怒鳴り声を上げられ、恐怖ですくんだ麻奈美は涙まじりの瞳でコクリと頷いた。
「しっ、したわ……」
「はっきりと言え!」
「けっ、ケンくんと……セックス……したわ……」
「ああぁぁあアアアッ!!! なんでっ! なんで! なんでだよおッ!!?」
「だって……わたし、わたしが……ケンくんのことが好きなの……シュウくんも、知ってたでしょ……?」
「ハァッ!?」
なんだそれは――なんだというのだ。
この告白、もしも体が入れ替わる前であったなら、喜びのあまり天にも昇るような気持ちになったはずだ。
しかし、今の健二とって、これほど残酷な事があるだろうか?
「はぁっ!? 姉さんが!? なんで!? 知らない! 僕は知らない!!」
「うそよ……シュウくんは知ってたじゃない……それに、ケンくんが私に気があるって……あなたが言ったから……だから……」
山田健二では麻奈美に釣り合わない。この恋が実ることはない。
そう思って諦めていた。
けれど、イケメンの弟に成り替わることで麻奈美の身体を自由にできるようになった。これは何の取り柄もない山田健二に与えられた幸運だったのだ。
――だったはずなのに、それが蓋を開けてみればどうだ。
もしも体が入れ替わらず、ほんの少し勇気を出して麻奈美に告白さえしていれば、今頃は山田健二として麻奈美と結ばれていた未来があったかもしれないのだ。
「嘘だ! 嘘だ嘘だ!! 嘘だッ!!!」
しかし、今更そんなものが認められる訳がない。
山田健二ではダメなのだ。もう手遅れなのだ。
「僕が姉さんを一番好きなんだ! あんな奴なんかより、僕の方がずっと姉さんを愛してるんだ! 姉さんも僕の事が好きだろ!?」
絶望に顔を染め、縋りついてくる弟に、麻奈美は哀れむような眼差しを向けた。
「シュウくん、もう止めましょ……こんな事いくらしたって……お姉ちゃんがシュウくんを男の人として好きになることなんてないのよ……?」
「あっ……あっあぁぁぁぁ…………ぁぁぁぁっ!」
認めたくない残酷な現実に、県じあh腕で頭を覆ながら嗚咽を漏らした。
声が枯れるまで叫んでから、まるで電池が切れた人形のようにピタリと動かなくなった。
「シュウ、くん……?」
呼びかけに反応して、ゆっくりと顔を上げた弟の顔には、もはや怒りも哀しも映ってはいない。
感情の伴わない、のっぺりと無機質な瞳が麻奈美に向けられる。
「ああ、わかった……姉さんが好きなのはアイツで、僕はただの弟でしかない……どう足掻いたところで、結ばれる未来なんてなかった……」
「そう……だから、私たち、元の姉弟に戻りましょ……?」
話が通じた。やっと弟が正気に戻ってくれる。過ちは犯したけれど、きっとまた以前のように仲の良い普通の姉妹に戻れるはず。
麻奈美の抱いた淡い期待は、しかしあっさりと打ち砕かれる。
「いいよ、姉さんが僕を愛してなくても、それでいいよ。僕は姉さんを愛してる、それだけで十分だ……だから」
「えっ……きゃあっ!?」
ボソリと呟いた健二の両手が胸元に伸ばされる。
そしてブラウスのボタンごと無理やり前を引きちぎられた。
その弾みでブラの片側から豊かな乳房がこぼれ落ち、柔らかそうに揺れ動く。
「きゃぁァッ……! やめてっ!!」
必死にはね退けようとするが、覆いかぶさってくる男の腕力に抵抗できるはずもない。
麻奈美を押さえつけながら、健二はしゃぶるように乳房を舐めまわす。
乱暴に掴む手とは裏腹に、乳首を愛撫する舌の動きはねっとりとイヤらしく、敏感な箇所を責められてしまうと、嫌だと思っているはずなのに身体が勝手に感じてしうまう。
「ひうっ! あぁっ、いやぁっ……っ! お願いっ、やめてっ、やめてっシュウくん……! こんな……っ、だめよっ!」
欲望に突き動かされる弟の手はスカートの中に潜り込み、ついにショーツを剥ぎ取ってしまう。
秘裂を指がなぞるたび、粘り気のある音が立つ。
「いやっ、いやぁっ……おねがいっ、おねがいだから……やめてっ!」
「はぁっ、はぁっ、うぅっ……姉さんっ、姉さんッ……!」
懇願する麻奈美の言葉など耳に入っていない様子で、健二はズボンの下から熱く滾った肉棒を取り出し、秘部に擦り付けた。
先走り汁が花弁に擦り付けられて、ヌチャヌチャと卑猥な音を立てる。
「ふぅっ……ふぅぅっ! うぅっ……! いっ、挿れるよ! 姉さんッ!!」
「あぁっ! いやっいやぁっ! やめてっ! お姉ちゃん、他の事ならなんでもシュウくんの言う通りにすからっ、だからぁッ……ッ!」
懇願する麻奈美を無視して、弟はゆっくりと腰を落として、肉棒を麻奈美の膣内にねじ込もうとする。
「いやああアアアァァッ!!」
麻奈実の悲痛な叫びは誰にも届かないまま、ヌラリと粘つく肉棒の先端は秘裂を掻き分け沈み込み、ついに麻奈美の膣に挿入された。